セルフ型水素ステーションは始まっている②

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ENEOSが運営する横浜綱島水素ステーションは、セルフ型水素ステーションです。最近、自動車自体に余り乗らないので、FCVに水素を充填する機会が減っています。久々に綱島水素ステーションに行って充填をしてきました。

セルフで充填するためには、綱島ステーションで保安教育を受け、「セルフ水素充填準備作業の委任に関する同意書」に署名し、実施訓練を受けて、初めて出来るようになります。もちろん、2回目以降は、「セルフ水素カード」を見せれば各種手続きは必要ありません。僕のカード番号は36番、今では47番までいっているそうです。

もちろん、僕は「セルフ水素カード」を提示し作業に入ります。今回、ステーションにいる保安員の方から、「水素充填口に接するノズルの表面部分に水滴がついているので、それをエアーブロアーで飛ばさせてもらいます」と言われたのです。

「どういうことですか?」と聞くと「水素が低温で充填されるので水滴が氷ってしまい、ノズルが抜けなくなるのです」と。連続で水素充填する事により、水滴がノズルに付着すること、そして凍って抜けなくなること、こうした課題が見えてきたとのこと。

FCVの台数が少ない時は、連続充填ということが、そもそも無かったはず。しかし、台数が増えてくれば異なる課題が見えてくるのです。特に、セルフ充填ということになれば、水滴を吹き飛ばさずにノズルをセットしてしまう人が出てくることも考えられます。

実証実験の意味は、課題があるから実装をやめるという理由をつくることではありません。見えた課題を実装する為にどうやって解決するのかを見出す機会なのです。水素ステーションの運営コストを下げる為には、セルフ化が必要不可欠で、コストを下げれるからステーションの普及拡大に弾みがつくのです。

東京オリンピック時には、多くのFCVやFCバス、FCトラック、あるいはFCトレインが走ることになると思います。東京オリンピックが、水素社会のショーケースになるという意味は、テクノロジーに基づいた水素関連製品を開発し、販売することだけではありません。水素社会において製品を利活用することによって生じる課題を見出し、その運用上の課題を解決を示すことがショーケースのもう1つの意味だと思います。


編集部より:この記事は多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授、福田峰之氏(元内閣府副大臣、前衆議院議員)のブログ 2019年7月14日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。