「重言」(重ね言葉)とは、同じ意味の言葉をくり返しつかうことです。本人も気が付かずに使用しているケースが多く、話し言葉をそのまま文章に起こした際に起こりやすい現象です。
「重言」のなかには、つかわれる頻度が高く一般的とみなされているものがあります。そのため日常的な会話においては違和感の感じないものがあります。
たとえば、手紙で「お体をご自愛ください」と書く人がいますが、これは同じ意味の言葉をつなげているので「重ね言葉」になります。「ご自愛ください」のみで十分なのです。
短い文章ならそれほど気にならないかもしれませんが、長い文章にはいっていると違和感を覚えるようになります。回りくどく、高圧的な印象を与えてしまうので注意が必要です。意味を重ねるので強調表現として解釈される場合があるからです。「重言」の種類はいくつかありますが間違えそうなものを紹介します。
・今回の提案は当社の命運がかかっている。「一番ベスト」な方法を選ぼう
・ゴルフの「平均アベレージ」を教えてください
・明日の「披露宴のパーティ」にはなにを着ていきましょう
・今日の「昼食のランチ」はなににしましょうか
・社長に「すべてを一任」します
・今日は提案主旨書を用意して。「必ず必要」だから
・映画の「最後のラストシーン」が感動的でした
・車の「車間距離」に気をつけよう
・営業の目標達成率は、「いま現在」どんな感じ?
・「切り札」として、最後にこの商品を試してください
・運転手さん、そのまま「後ろにバック」して
・オフィスを出るときには「電気の電源」に気をつけて
・よかった、「内定が決まって」ホッとしたよ
・スケジュールは「あらかじめ予定」していたとおりで
・投票の結果は「過半数を超えて」いたよ
どこが間違っているかわかりますよね?さて、14冊目となる『3行で人を動かす文章術』を上梓しました。正しい文章を書きたい人には役立つ内容ではないかと思います。
尾藤克之(コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)