台湾の最大野党国民党は15日午後、来年1月に予定される台湾の総統選の公認候補選びの世論調査で韓国瑜高雄市長が勝利したと発表した。正式な指名は28日の党大会で行われる。
6月に蔡英文総統が民進党の候補として選出済の総統候補選び、5人が出馬していた国民党の世論調査は8日から14日までの夜間に固定電話を使って行われ、1万5185件の有効回答を得た。その結果、韓氏が44.81%を獲得、27.73%で2位だった郭台銘前鴻海精密会長以下に大差をつけて勝利した。
民進党の候補者選びでは従来の固定電話のみに対し、携帯を半分加える案に反対した頼清徳氏が負け、国民党では、携帯を半分加えるべきとの郭台銘氏の要望が退けられた結果、郭氏が負けた。ほぼ100%近い普及率の携帯が加えられずに負けたiPhone組み立て企業のオーナーはさぞ無念だろう。
台湾各紙の報道は、蔡英文の最近の対中強硬姿勢と経済政策で韓氏に一歩譲る点、韓国瑜の方は今後半年間の市政と総統選の両立、のそれぞれを有権者がどう評価するかがポイントとしている。が、筆者は15日の投稿で書いたように、今後の中国の出方、とりわけ香港情勢の動向も大きいと思う。
もう一つ、柯文哲台北市長の出馬動向も気になるが、先般中国を訪問し、上海市長と兄弟の契りを交わしているようでは、もし出ても韓氏との票の食い合いになる気がする。後は、郭台銘氏が無所属で出るかそれとも韓氏に協力するか、それと頼清徳氏が蔡総統にどう協力するかも焦点だ。
いずれにせよ1月の本選までまだ半年ある。まだまだ何が起こるか判らない台湾の総統選ではある。
高橋 克己 在野の近現代史研究家
メーカー在職中は海外展開やM&Aなどを担当。台湾勤務中に日本統治時代の遺骨を納めた慰霊塔や日本人学校の移転問題に関わったのを機にライフワークとして東アジア近現代史を研究している。