NHKに敗訴:東横インは「テレビあり・なし」に部屋を分けてみては?

黒坂 岳央

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
■Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka

東横インホテルにNHKが受信料19億円を請求した問題が話題になっています。

東横インへの受信料支払い命令が確定 最高裁(日経新聞)

東横イン公式Facebookより:編集部

私は地方在住者ですが、ビジネスで頻繁に東京、大阪へ出張しておりその際利用させてもらっているホテルが東横インです。ですので、まったく他人事ではありません。

Twitterでも問題についての想いをぶちまけてしまいました。

法的に正しくてもビジネス的に間違い

NHKが請求する正当性については、最高裁が認めています。つまり、法的にはまったく正しいという解釈です。しかし、ビジネス的にはこの結果が不特定多数の幸福の総和を大きくするとは思えません。

今回の請求により、NHKはしっかりと受信料を受け取ることができました。しかし、東横インは19億円もの請求を受けますから、経営へのコスト増は避けられません。また、今後の方針としては

「テレビを部屋から撤去する」

「受信料を宿泊費に転嫁する」

「価格据え置きでサービスのコストカット」

のいずれかの選択肢を取ることになります。しかし、いずれの場合でも宿泊者にとってプラスになる要素は一切ありません。テレビ離れ、と言われている昨今ではありますが、それでもホテルでリラックスしてテレビを見る人はいるでしょう。そして、なんといっても来年は東京オリンピックが控えています。

私は今回の請求が、宿泊者への負担増という事を考えると、ビジネス面でプラスになると感じないのです。

ビジネスホテルの宿泊者はNHKを見るのか?

私は東横インを利用する時は、日中のビジネスを終えて21-22時頃にチェックインをすることがほとんどです。急いでシャワーを浴びて、翌日に備えて早々に就寝します。翌日は4時、5時の早朝に起きてPCで講演資料などを作り込み、朝食を食べてホテルを出ます。この一連のプロセスの中に、NHKはおろか、テレビを視聴する時間が入り込む事は一切ありません。

ホテルにゆったりと宿泊することが目的の高級ホテルならいざしらず、サクッと泊まってさっさと出ていくだけのビジネスホテルで、NHKの有無は宿泊者に与える影響は皆無と考えます。特に東横インは都心で格安宿泊ができる便利なホテルなので、今回の件で宿泊費が高くなるなら、とても残念に感じます。

テレビのある部屋とない部屋に分けるソリューション

これは素人の思いつきですが、テレビのある部屋とない部屋に分ける、というソリューションはどうでしょうか?

宿泊者の中にもテレビを求める人はいるでしょうから、テレビがある部屋は宿泊費がプラスで請求され、ない部屋は割引価格で宿泊できるという「選択肢」を設けるわけです。

  • 全室テレビ付き…これまでの価格に受信料分上乗せ
  • 全室テレビなし…価格は据え置きだが、テレビがない

というのは、どちらも経営リスクがあるでしょうから、宿泊者に選択肢をもたせることでそのリスクをヘッジするという発想です。

もしかしたら、テレビなしの割引部屋が圧倒的な支持を受けて、堂々とテレビの設置をなくす方向に舵切りが出来るかもしれません。

さらにリスクを減らすために、「NHKが映らないテレビ」が有効かもと考えたのですが、こちらは「フジテレビしか映らないテレビ」のようなので、あまりテレビとしての役割は果たせず、また価格もかなり高い事を考えると、テレビの有無を選択肢にする方法に軍配が上がると考えました。

今後の東横インの対応を注視しようと思っています。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

■無料で不定期配信している「黒坂岳央の公式メールマガジン」。ためになる情報や、読者限定企画、イベントのご案内、非公開動画や音声も配信します。

ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。