忖度しちゃダメ、都庁職員。向き合うは都知事ではなく都民ですよね

川松 真一朗

東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。

参議院選挙が終わり、私達都議会議員は、日常業務に戻りました。選挙から早くも1週間が経ちましたが、疲れが抜けないどころか体調を悪くした私です。そこで、今日は東京都が発表した「重点政策方針2019」というものに触れていきます。

「ChŌju」など7つのCの重点政策方針を発表する小池知事(都知事公式Facebookより:編集部)

詳しくは東京都政策企画局のウェブサイトを見て頂ければ分かるのですが、今回【戦略的視点~7C TOKYO】というものも発表されています。7つのCを軸に政策を発表していこうという事で、目標設定として悪い話ではありません。問題はその内容です。

東京都が取り組む7つのC

・Chance   オリパラを好機とした未来への投資
・Change    時代を先取りした意識改革
・Challenge 新たな時代への挑戦
・Check      東京大改革を進める
・Communityみんなが集い、暮らす
・Children    未来を担う子供を育む
・ChŌju    人生百年時代を元気に

自信をもって発表したわりに、目新しいものがありません。当たり前のことだけを羅列しています。これまでも、政策の方向性などが示されると、よくも悪くも都議会自民党内から意見が出てきて活発な議論が展開されます。しかし、今回に限っては、あまりにも面白くなく議論の芽さえも生えてくる事はありませんでした。

挙句の果てに、7つのCで最後に出てくるのは「長寿」の「C」です。無理やり感が際立ちます。よく考えたと褒める方もいるのかもしれませんが、私は恥ずかしくなりました。奇しくも、私が夏の参院選で選対に入って応援をしてきた山東昭子議員はこれまでもずっと「人生100年」時代のシニアの生き方を政策の柱にし、武見敬三議員のスローガンは「活力ある健康長寿社会」です。東京都の職員が頭をひねり出さなくともいいのになと思ってしまいます。

言葉選びにセンスがあるようで、ないようで。

小池知事はそもそも3つのシティを掲げていました。これも、セーフシティ・スマートシティ・ダイバーシティの3つです。これも実は私にとってはツッコミどころで、セーフなシティ、スマートなシティは分かります。3つ目はダイバーシティが多様性を意味する1単語であり、前者のようにするならダイバー「シティ」な街となります。

この頃から、無理やりな言葉遊びに走っているのではないかと指摘していました。揚げ足を取るつもりもなく、その哲学を持って東京を前に進める事は大いに重要ですが無理やり過ぎないかなとう思いです。

ただ、そういう机上の遊びに走って、やるべき重要なことを忘れてはいないかと心配になるのです。オリンピックの輸送に関しても、環状2号線の築地市場用地部分の暫定迂回道路をして環状2号線開通という表現を使うのが今の都政です。どう考えても、当初計画のトンネルが完成しなくても、開通は開通だと言い切って本質が見えなくなってしまう。このことでは、私もツイッター上で今週、繰り返し説明を重ねていますが理解を得られません。

この参院選で、「れいわ新撰組」が訴えてきた事に耳を傾け、心を打たれ投票された方も恐らくブログ読者の中にはおられると思います。私も、このムーヴメントには注目をしていて参院選での街頭演説はほぼ全てYouTubeで拝見しました。彼らの依拠する理論からすると、何も曇りのない名演説でした。

しかしながら、時にその演説で出てきたデータの使い方、見方を変えれば、全く違う展開も出来るわけです。私だったこう反論するなと考えながら見つめてきたものです。今後、山本太郎氏が街頭記者会見も行いますし、私自身も研鑽を更に積んでいかねばならぬと考えています。

都庁職員は「知事を見ず」に都民を見つめて

さて、今日、私は何を述べたいのかというと、都庁職員は知事を見るのではなく、生活の現場で不安に思っている人、不満を抱いている人、疑問をぶつけたい人達に正しい情報を提示することで、理解を得られるような政策方針を広く訴えるべきです。どうしても内向きな今の姿勢では住民サービスをどう提供するかという存在意義を忘れてはいやしないかと心配になります。

今回の7つの「C」に合わせるなら「Convince」(納得させる・確信させる)力が必要です。私達、政治家はその役人と住民との狭間に立ち、いくらでも両者の代弁をします。しかし、今回のような政策方針が出されるならば、私は都庁舎の代弁者にはなり得ません。住民の代弁者としてのみ、都政運営に政策提言、政策要望するしかないのです。

こういうことを書くと、川松憎し運動が知事に近い役人から展開されるかもしれません。それならそれで構いません。あまりにも馬鹿馬鹿しい「ChŌju」を当然のように示して、都民視点を忘れている役所とは徹底的に戦いますから。

私はどんな場面でも、それはテレビにおいても、政談演説でも「小池知事には素直になって頂きたい」と繰り返し述べてきています。都議会自民党の中でも、常に「小池知事が私達の政策提言を素直に受け入れてくれる」事こそ、都政の繁栄に繋がり、小池知事が輝くのだと言っています。そんなニュアンスを含めて、私は小池知事の最大の応援団だと言い続けているのです。知事就任から3年間、素直になれる場面はあったのに…

Chanceは大事にしたい

最後に触れますが、7つのも本気で取り組むのか注視します。特に、Chance。未来への投資チャンスという事ですが、2020年大会に投資することはその先の持続発展可能な東京を生み出すことが出来ます。今の都庁雰囲気について触れると、小池知事が知事選でお金をオリンピック準備にかけ過ぎという雰囲気を作ってきた結果、必要なものの予算まで削ってしまいがちな感じです。

その投資に意味があるならば、その考え方・根拠も提示して、多くの都民の皆様の理解を求めるべきです。ハード面が整ってきた今、ソフト面の充実が必要になってきます。

私もこのChaceをChanceと捉えて、なお一層努力を積み重ねる所存です。

川松 真一朗  東京都議会議員(墨田区選出、自由民主党)
1980年生まれ。墨田区立両国小中、都立両国高、日本大学を経てテレビ朝日にアナウンサーとして入社。スポーツ番組等を担当。2011年、テレビ朝日を退社し、2013年都議選で初当選(現在2期目)。オフィシャルサイトTwitter「@kawamatsushin16」