AI(人工知能)を使った投資信託の運用成績が振るわないと、日本経済新聞が報じています(図表も同紙から)。
国内外の株式にAIを投資判断に使って運用するアクティブ型の投資信託15本のうち、2019年6月末時点で設定から1年以上たった投信10本の、ここ一年の騰落率は全てマイナスになっているという惨憺たる状況です。絶対値だけではなく、インデックス(市場平均)と比較しても、大幅に劣後していることがわかります。
例えば、先進国(日本を除く)株式を投資対象とするAIファンドの「GSビッグデータ・ストラテジー(外国株式)」は1年でマイナス2.8%。同じ、日本を除く先進国の株式インデックスであるMSCIコクサイ(円ベース)は、5%のプラスということですから、かなりの不振と言えます。
しかも、このファンドは販売手数料が最大で3.24%(税込)、年間の信託報酬も1.3284%(税込)もかかっています。「高コスト・低品質」と言わざるを得ません。
まだ1年だけしか経っていませんから、早計に結論を出すべきではないのかもしれません。でも、他のAIファンドも軒並み苦戦しているという状況を見ると、この手にファンドには、少なくとも今は投資すべきではないと考えるのが自然です。
AIによる投資手法は、これから益々洗練され、精度が今より更に高まることが期待できます。いずれ、AI投信が、インデックスファンドを上回る時は来るのでしょうか?私はそれにも否定的です。
AIを使うといっても、銘柄選択を行って高い運用成績を狙うという意味では、アクティブファンドに分類されます。大多数のアクティブファンドは、長期的にインデックスに勝てない。これが、私の考えです。
ファンドマネージャーという人間がやるか、AIというコンピューターがやるのかに関係なく、市場の平均値を上回るパフォーマンスをアクティブ運用で実現するのは、簡単ではないのです。
「AI」と聞いただけで、魔法のツールが手に入ったと思い込んでいる人がいたとしたら、それは大いなる錯覚です。
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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年8月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。