ホルムズ海峡の緊張感が高まっています。もともときな臭いと言えばきな臭いエリアですが、今回の直接的な要因は、昨年11月からアメリカがイランに対して経済制裁を再開した事が発端です。
先日もお伝えしたように、日本のタンカーを含む民間のタンカーに対しての攻撃が2度あったり、イランによって民間の船が拿捕されたことが2度、逆にイギリスがイランの船を拿捕したのが一度、また拿捕未遂も発生しています。さらにはアメリカ海軍、またイギリス海軍のドローン撃墜なども発生しており、最新のニュースでは国籍不明のタンカーがペルシャ湾で拿捕されたとの報道もあります。
こうした事態を受け、アメリカが7月19日にホルムズ海峡を通過する民間船舶保護のために有志連合「センチネル作戦」を結成するために、参加を65カ国に呼びかけました。要するに軍を出し合って民間船舶を守ろうということです。
日本の判断はこれからになりますが、ヨーロッパ、イギリスやフランス、ドイツなどは現状様子見、韓国が前向きと言われています。韓国の場合は文在寅大統領が北寄りの政権で、北朝鮮との非核化交渉や日本との対立問題を抱え、米韓同盟を強化する意味でもアメリカにすり寄っている背景があります。
日本も「これに不参加」「単に反対」では済まされません。なぜならば、日本のタンカーを守るのはこれ日本の責任だからです。
先ほども述べたように、今回はアメリカとイランの対立が直接的な引き金ですけれども、仮に仲の悪いイランとサウジアラビアが対立をした場合でも、日本の民間船舶を守るのは日本の責任です。
知っトク解説でも書きましたが、日本が輸入している石油の90%は中東からで、そのうち85〜90%はホルムズ海峡を通過しています。電気がつくのも、車が走るのも、電車が動くのも、すなわち全ての国民生活が成り立ってるのは石油があるからこそです。ということは「アメリカにお付き合いする」とか、例の「集団的自衛権か?」と言うのとは全然違い、日本の船を日本が守らないと日本の国民生活が成り立たない、これ個別自衛権ということになります。
今回、アメリカが呼びかけた有志連合に参加するかどうかについてはこれから議論になると思いますが、それとは別に、常にこうしたことは日本が問われることになるでしょうし、はっきり言って今までもそうだったように向き合わなければいけない問題です。
日本は石油に限らず、天然ガスや石炭などを含めたエネルギーを外国に頼っているわけですから、今回のような緊急対応が問われている訳ではありません。
資源調達のリスク管理について、関係国との間で常に資源調達の管理水準を高めていくことや、そもそも日本のエネルギー自給率を高めていくということが求められます。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年8月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。