こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
徐々に軽減税率の実態が広まってくるにつれて、ようやく批判の声が少しずつ高まってきたように思います。
私は軽減税率には一貫して超・超・超否定的で、この制度の欠陥や本当の世界のトレンドについては下記の過去記事をぜひご一読いただければと思います。
「軽減税率は先進国の常識」の大ウソ!(2015年11月30日)
一度導入されてしまえば、取り返しがつかない軽減税率。
どんな政策にもメリット・デメリットが混在するのが当然ですが、この軽減税率だけは8%・10%と2%の差で導入することに気持ちが良いくらいメリットがありません。
導入の旗を振った公明党が述べているように、せいぜい「痛税感が和らぐ」くらい。
自分たちの支援者の「痛税感」とやらを和らげるために、末代まで日本国民に負担を押し付けようとしている公党と、それに乗っかった新聞各社の罪深さはぜひ多くの人に知っていただきたいと思います。
私たちの参院選公約は、消費増税の凍結=軽減税率の撤回でした。これから打てる手がないか、先輩議員の皆さまと知恵を絞っていきたいと思います。
■
関連して少し、税制全般について考えていることを備忘録的に。
なぜ消費増税が「凍結」で、某れいわ新選組のように「撤廃」まで踏み込まないのか?
最低の軽減税率を伴い、景気浮揚も不十分な現段階での消費増税には断固反対ですが、中長期的には選択肢として消費増税を行う可能性もあるからだと思っています。
しかしその選択肢を取るためには、もちろんやるべきことがいくつもあります。
※党全体のコンセンサスではなく、現段階では一部私見を含む。
・歳入庁の設置とマイナンバーカード徹底活用を断行する
・上記でストック(資産)を正確に把握し、ストック課税を強化する
・所得税や法人税などの直接税を(大幅に)下げる
(・同時に、現役世代に負荷が重い社会保険料制度も見直しする)
まず前提として、現在の日本はフロー(収入)に対する課税(所得税・法人税)に重きが置かれていますが、これは特に世代間格差を助長するばかりです。
広く知られているように、日本の資産の大半は高齢者が所有しているものの、働かなくなれば収入はゼロなので、事実上彼らに課税する手段は消費税以外はなくなります。
特に世代間で広がっている貧富の「格差を是正する」というのであれば、ストックに対する課税&消費税を強化して、その分所得税や法人税など、現役世代にダイレクトに影響する税率を下げていく必要があります。
れいわ新選組の政策が完全に間違っているのはこの点で、彼らはむしろ高所得者層・大企業を狙い撃ちするために所得税・法人税率はアップし、消費税は廃止すべきと主張していますが、これでは実は格差が広がる一方です。
ある分析によると、れいわ新選組の支持層には若い人たちが多いようですが、実は彼らの主張する政策は働く現役世代・若者に対してマイナスが大きいというパラドックスが生じているのは興味深い傾向ではあります。
むしろ既得権益層や富裕高齢者がもっとも嫌がるのはストック課税であり、そのストックを正確に把握するためには歳入庁設置&マイナンバーカードの活用が必須なわけですね。
彼らを強固な支持基盤とする自民党には、このような税制の見直し方針は絶対に出てきません。
一方で選挙のために公明党と強調し、誰にとってもマイナスしかない軽減税率を導入するなど、そんな自民党しか選択肢がないことが日本全体の不幸になりつつあると言えるでしょう。
■
こうした状況に一石を投じるために、維新の党内では専門プロジェクトチームが税と社会保障の新たな「設計図」を立案している最中です(下記の動画は、税制よりも社会保障制度が中心テーマですが)。
維新こそが将来世代の利益を代弁する新しい政党であると認識していただけるよう、引き続き邁進をして参りたいと思います。
乱文になりましたが、本日はこんなところで。
それでは、また明日(お盆週は普通に働いています)。
編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会、地域政党あたらしい党代表)のブログ2019年8月12日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。