日本人のアートに対する「歪んだ意識」

東京の初台で開催されているジュリアン・オピーの作品展に出かけてきました。人気の作家で、日本ではGMO創業者の熊谷正寿さんのコレクションでも知られています。

展示は広いスペースにゆったりと作品が置かれていて、数は多くはありませんが、じっくりと鑑賞することができます。平日の午後に出かけたせいか、空いていて贅沢な空間を味わうことができました。

念のため書いておくと、写真の右側は作品で、左側は作品ではなく会場警備の方です(笑)。

オピーの作品は、個人で購入することもできます。人気の作家さんなので、かなり価格は上がっていますが、数百万円で買えるものもあります。

それぞれの作品を見ながら、「これは買ったらいくらするのだろう」と考えていました。購入することを前提に、あれこれ想像しながら鑑賞するのは楽しいものです。

ところが、多くの日本人はこのような話をすると、あまり良い気分にならないようです。アートとは美術館で鑑賞するものであって、それに値段を付けるのは不謹慎だと思っているからです。

海外のアート愛好家の考え方は、日本とは随分違うと聞きました。

切手やコインと同じように美術品をコレクションしたり、アート作品を投資対象として捉えたり、あるいは富の蓄積手段と考えたりしているのです。

好きなアートであれば、わざわざ美術館に出かけるより、自分の家でいつでも自由に見られた方が良いに決まっています。有名画家の有名作品は美術館に行かなければ見られませんが、日常生活にアートがあれば、豊かな毎日が送れるのです。

アート作品もマーケティングやプロモーションの方法によって価値が変わってくるのは、一般の商品と同じです。有名アーティストがハイブランドとコラボレーションするのも、アートのブランド化の一環と考えることもできます。

日本でもアートに興味を持つ人が増えるにつれ、アートに対する「歪んだ意識」が変わっていけば良いなと思いました。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年8月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。