親と同居するミレニアル世代が多い米国の都市とは?

ミレニアル世代(ピュー・リサーチ・センターの定義で1981〜96年生まれ)と言えば、学生ローン、賃金伸び悩み、家賃上昇ペースの加速に加え、アボカド・トーストに代表される外食好きとあって、経済的に余裕がない世代というイメージが先行しがちですよね。

カバー写真:DieselDemon/Flickr

象徴的な事実として、親と同居するミレニアル世代の増加が挙げられます。不動産調査会社ジローによれば、親と同居する23〜37歳は22%と、2001年の11.7%から上昇していました。米国勢調査局のデータでも、独身を中心に実家に戻って来る”ブーメラン”状態のミレニアル世代の比率が高いことが分かります。

(作成:My Big Apple NY)

では、都市別でみるとどうなのでしょうか?個人向け金融情報会社マグニファイ・マネーの調査によれば、以下の通りとなります。ここでの失業率は親と同居するミレニアル世代の失業率を、仕事を探していない失業者の割合は親と同居しつつ、労働市場に参加していない失業者の割合を示します。

10位 フロリダ州オーランド
親との同居率:21.1%
失業率:5.9%
仕事を探していない失業者の割合:19.5%

9位 メリーランド州ボルティモア
親との同居率:22.1%
失業率:10.6%
仕事を探していない失業者の割合:19.5%

8位 ロードアイランド州プロビデンス
親との同居率:22.3%
失業率:7.9%
仕事を探していない失業者の割合:16.5%

7位 ペンシルベニア州フィラデルフィア
親との同居率:22.5%
失業率:9.4%
仕事を探していない失業者の割合:16.8%

6位 ルイジアナ州ニューオーリンズ
親との同居率:22.9%
失業率:11.2%
仕事を探していない失業者の割合:24.1%

5位 テキサス州サンアントニオ
親との同居率:23.2%
失業率:7.2%
仕事を探していない失業者の割合:25.3%

4位 ニューヨーク州NY
親との同居率:24.7%
失業率:7.0%
仕事を探していない失業者の割合:15.3%

マンハッタンの1ベッドルーム(1DK、1LDK)の家賃中央値はざっと3,500ドル(約37万円)超え、北部のブロンクスですら1,500ドルオーバーですから、実家があれば離れづらいですよね・・。

(出所:Several seconds/Flickr)

3位 カリフォルニア州ロサンジェルス
親との同居率:26.6%
失業率:6.9%
仕事を探していない失業者の割合:16.2%

2位 フロリダ州マイアミ
親との同居率:27.7%
失業率:8.4%
仕事を探していない失業者の割合:18.1%

1位 カリフォルニア州リバーサイド
親との同居率:28.1%
失業率:10.8%
仕事を探していない失業者の割合:18.1%

——米国ではニート問題より中高年の自殺オピオイドなど薬物乱用が注目されがちですが、南部を中心に仕事探しすらしていないミレニアル世代の非労働力人口の割合には目を見張りますよね。雇用統計を振り返ると、米景気が景気拡大期の最長記録を更新しながらも、働き盛りの男性労働参加率は低迷トレンドをたどり、セクター別の就労者数でも製造業に低賃金の外食が迫る勢い。このままでは世帯形成にも影響を及ぼし、潜在成長率を下押ししてもおかしくありません。実際、2017年の出生者数は1987年以降で最低でしたよね…。

(カバー写真:DieselDemon/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2019年8月26日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。