政府の国家戦略特区ワーキンググループ(WG)の座長代理を務める原英史氏が、自身に疑惑があるかのように報じた記事が名誉毀損にあたるとして、毎日新聞社を相手取って1100万円の損害賠償を求めた訴訟が27日、東京地裁ではじまった。毎日側はこの日までに提出した準備書面で、原氏と争う姿勢を示した。
毎日新聞は、6月11日の1面トップで、「特区提案者から指導料 WG委員支援会社200万円、会食も」と題した記事を掲載し、事案の構図を解説する「図解」に原氏の顔写真入りで載せているが、原氏が第1回口頭弁論の終了後に更新したFacebookによると、毎日側は、200万円を受け取ったり、会食をしたりしたのは原氏ではなく、記事の上で「原氏と協力関係にある」としていた特区提案の会社であるなどと反論した。
原氏はFacebookで「毎日新聞社が答弁書で提出した主張には、本当に驚いた」と感想を述べた上で、
私の顔写真が掲載され、しかも私が「収賄罪」相当とのコメントまでわざわざ掲載されている。私が「200万円」を受け取り、「会食」接待を受けたと読むのがふつうの読み方だろう。この記事を読んだ篠原孝・衆議院議員が、「原が懐を肥やしている」と思い込んだことをみても、これは明らかだ。
などと反論した。さらに毎日側に対し、法廷に提出した答弁書を紙面に全文掲載することや、問題記事についての読者アンケートの実施や、社外の有識者でつくる紙面批評の社内組織『開かれた新聞』委員会に諮問することなどを要求し、
もし本当は、異なる意図で記事を掲載し(見出しは「原が会食」の意味のつもりなど)、裁判になったので苦し紛れに奇想天外な言い逃れをしているのであれば、もうこれ以上ウソを重ねるのをやめてもらいたい。報道機関として恥を知れ、と申し上げたい。
と皮肉も交えながら憤りを示した。
この問題をめぐっては、毎日側の記事掲載直後から原氏が自身のFacebookやアゴラ、新潮社フォーサイトなどのネットメディアで反論。毎日も続報を書き、原氏も再反論するなど応酬が続いてきた。また、国家戦略特区諮問会議民間有識者議員と、国家戦略特区WG委員の有志も7月に連名で、毎日新聞に抗議の声明文を出している。
しかし、毎日側は原氏が6月下旬に提訴した際も
記事は十分な取材に基づいて掲載しています。
とする社長室広報担当の談話を発表。その後も原氏周辺に記者が取材をかけるなど徹底抗戦の姿勢を続けている。