反日国家(中韓朝)に対する賢い向き合い方

八幡 和郎

大韓民国(韓国)は反日国家である。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)もそうだし、中華人民共和国(中国)もそうだが、それぞれ、意味は少しずつ違う。

Wikipedia、韓国大統領府インスタグラム、朝鮮中央通信より:編集部

中国共産党は、中華民国時代に国民党の政権と内戦を戦い、西安事件によって内戦を停止し抗日戦争をともに戦うことを、蒋介石に承知させた。そして、終戦後は双十協定を経てその破綻ののちの内戦で建国した。

この成立史がゆえに抗日が建国の原点のひとつになっており、それがゆえに、靖国問題などでも強硬な立場をとる。

北朝鮮は、その憲法の序文で「金日成同志は不滅のチュチェ思想を創始し、その旗のもとに抗日革命闘争を組織、指導して栄えある革命の伝統を築き、祖国解放の歴史的偉業を成し遂げ、政治、経済、文化、軍事の各分野において自主独立国家建設の強固な基礎を築き、それに基づいて朝鮮民主主義人民共和国を創建した」としている。

パルチザンが原点であるが、建国は1948年という立場である。

韓国の憲法は、「悠久な歴史と伝統に輝く我々大韓国民は3・1運動で成立した大韓民国臨時政府の法統と、不義に抗拒した4・19民主理念を継承し、・・・1948年7月12日に制定され8次に亘り改正された憲法を再度国会の議決を経って国民投票によって改正する」としている。

つまり、日韓併合を無効という認識のもと、1919年の三・一運動ののちに上海で成立した大韓民国臨時政府を前身として、1948年に李承晩による建国で実体化され、李承晩を倒した1960年の革命を民主国家としての節目でであると規定している。

国際法の世界では、1910年の日韓併合条約は有効であると解釈されている。日本による強い圧力のもとで締結されたものだが、韓国側の同意がなかったわけでない。それを無効というなら、世界の歴史も国際秩序も大混乱になる。

日本国憲法の制定も押しつけには違いないし、強固な保守派のなかには無効だという人もいるが、無効だとはいわないが押しつけだから改正したいというのが改憲派の大勢なのと同じだ。

いずれにしても、韓国、北朝鮮、中国の三か国はその成立過程から、反日国家としての性格をもっているというのは、忘れてはならない。そして、それがゆえに、彼らは反日を看板に手を組みやすいということもある。

だからといって、日本が彼らのいう歴史認識や正義をみとめなくてはならない理由はないが、成算のない愚かな戦争をした結果、なんとも困った国際秩序ができてしまって、日本はそのなかにあって、この逆境を跳ね返すためには、硬軟おりまぜて、よほど賢く反撃しなくてはならないという冷静な認識は必要だ。

場合によっては、適度に反省を口にするとか、相手国の反日的言動をあまり気にせずに「立場があるだろう」と聞き流すほうがいいこともある。しかし、逆に、そういう反日が国是の国とはまっとうな対等の付き合いは無理なのだから友好を期待しないほうがいいということだってあるし、相手国に言うだけ無駄だが、日本国内や世界に向かっては彼らの反日が不合理であることの認識を深めさせるように努力することも大事なのである。


八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授