「飲み会参加したくない人」が嫌うのは飲み会ではなく、タバコの煙

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
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ガールズちゃんねるの「飲み会は好きだけど、タバコは嫌い」というエントリーにたくさんのコメントがつき、話題を呼んでいます。飲み会は好き嫌いが大きく分かれますが、その大きな要因に「タバコの煙」がありそうです。

acworks/写真AC(編集部)

かくいう私も、会社員時代は飲み会は嫌いではなかったのですが、タバコの煙が充満する空間はどうしても慣れることができませんでした(今も嫌です)。こうしたテーマを語る時は、どちらか一方に偏って主張してしまうと、正しい結論にたどり着けなくなってしまいます。よって今回は、喫煙者・非喫煙者の両方の視点で、飲み会のタバコの煙問題について考えてみたいと思います。

Twitterでもタバコの煙と飲み会についてつぶやきます!

喫煙者側の視点

まず、喫煙者側としては「タバコを吸っても良い」という場所で飲食しているわけですから、堂々と吸っても、本来はとがめられる事はないはずです。同時に、飲み会の会場にタバコの煙を入ることは、自分が吸うかどうかにも委ねられているので、「飲み会におけるタバコ問題」の責任を負っている立場でもあります。

法的には問題ないが、煙を吸うことに著しく不快になる人が存在する…。これは「マナー」として取り扱われるべき領域にあたります。自分が吸うと一定数は嫌な気分になる人が出るわけですから、非喫煙者からは「飲み会の2時間くらいは控えてほしい」とか、「吸うなら外で」と言われてしまうわけです。

臭いの原因を「タバコの煙」ではなく「生乾き臭漂う服」に変えて話をすると分かりやすいかもしれません。飲み会に生乾き臭の漂う服を着ていっても、店は入店を断りませんし、法的に罰せられる事もありません。でも、周囲からは「臭い服着てくるんじゃねーよ。迷惑だろ」と咎められてしまうでしょう。つまりは、タバコの煙と同じ、周囲へのマナーの問題と同じと考えます。

「いやいや、タバコは依存性があるので、本人の意思で簡単にはやめられないが、生乾き臭の服を着る事に依存性がない。よって両者を比較することはおかしい」と反論がついてしまいそうです。しかし、周囲が迷惑に感じるほど生乾き臭の服を着ても平気だ、という人は自分の発する臭いへの感覚の欠如があると考え、その感覚の欠如は変動値ではなく、「センス」「嗅覚」といった固定値に起因する部分が大きいと捉えるならば、タバコの煙と同じ問題に思えます。

つまりは、喫煙者に求められるのは「タバコを吸わない人」への配慮、マナーの問題です。ですので、「飲み会の間くらい我慢しろよ」という主張をする人は間違っています。

そして昨今はタバコを吸う人が、どちらかといえば少数派になってきました。パワーバランス的に、「法的には問題ないから」と突っぱねて自由に吸うのはかなり難しいと言えます。「吸ってもいい?」と周囲の人に断ってから吸い始めるのがマナーとされますが、その質問をしている時にはタバコに火を付ける直前であり、ほとんどの非喫煙者にとってお断りできない状態で尋ねるという喫煙者の姿勢が問題視されるなど、なかなか風当たりが強いと言えます。

まずは喫煙者側の立場を俯瞰するとこのような感じでしょうか。なかなか喫煙者にはキビシイ状況ですね。

非喫煙者側の視点

翻って、非喫煙者側の視点に移ります。非喫煙者側の意見としては「タバコを吸う人は軽い気持ちで吸うけど、煙を吸わされる側は甚大なるダメージを被る」という感覚を持っている人も少なくありません。服やバッグに臭いが付いてしまう、喉や目が痛くなるなど健康被害を受けるといった、「実害」を被るタバコの煙のダメージが大きすぎるので止めてほしい、という気持ちになっても不思議ではありません。

非喫煙者は被害を受ける立場ですね。

分煙のお店はあるのに、なぜ解決しない?

最近では完全禁煙を謳うお店も出てきました。喫煙フロア、禁煙フロアに分ける店舗もあります。また、席は禁煙で喫煙エリアを設けるお店もあります。

飲み会を開催する時に、喫煙者と非喫煙者が同時に参加しても問題がない会場はすでに存在します。なら、そこを予約すれば飲み会におけるタバコの煙問題は一切なくなると思われます。しかしながら、依然としてこのようなトピックが盛り上がりを見せるのは、このような分煙機能がうまくワークしていないからです。その理由を考えてみます。

一つには幹事がそのようなお店を予約しない…いや、できないということにあります。タバコの煙が苦手な参加者としては「分煙がなされているお店を選ぶ配慮をしてほしい」と言いたくなってしまうものです。が、それが容易ではない原因があります。

分煙が整備されている店舗は、全体的に見てかなり少数派。私はセミナーを開催する際に懇親会をやります。毎回、お店を探すたびにそれを痛感します。料理はおいしそうだし、値段も高すぎず、駅からのアクセスも抜群に良い、というお店に「尚且つ分煙」という条件を追加するとほとんど選択肢がなくなってしまいます。元々、絶対数が少ないわけですから飲み会シーズン、混雑する時間帯でお店を探すと、「分煙」という条件を外さなければお店を予約できない事も多いです。

このような事情により、喫煙者と非喫煙者のタバコ問題は終わらないのです。

実現可能性の高い3つのソリューション

実現可能性のあるソリューションを考えてみました。

1つ目、それは飲み会をもっと早い時間帯に始めるということです。飲み会の多くは19時~だと思いますが、その時間帯はどこのお店も多くの人で賑わっていて、自分たちの島が吸わなくても他のお客さんの副流煙が漂う、という事も大いにあるでしょう。また、前述した通り、数少ない分煙のお店の席がすぐに埋まってしまう事もあります。

開始時間を16時、遅くても17時にすれば良いのです。たった1-2時間早くするだけでも、予約は断然取りやすくなるでしょうし、さらに「飲み会に行くと帰宅が遅くなるから、家に帰っても何もできない」という問題も解消できますので、帰宅が遅くなる故に参加を見送る人たちの賛同を得やすくなる副産物もあるでしょう。

そしてもう2つ目は、ランチ会として実施することです。ランチなのでお酒はなしになるかもしれませんが、「アルコールの力を借りている間だけ、胸筋を開く事ができる」というコミュニケーションは真の人心交流とは言えません。ランチで2時間飲食を共にするわけです。

ランチですから、ディナーよりも安上がりですし、お店の予約の取りやすさも段違いに良い。また、夜はそうでなくてもランチだけはタバコの煙をしっかり分煙している、というお店も多いですから、非喫煙者も快適に過ごすことが出来ると考えます。…この場合喫煙者は吸えるスペースで吸ってもらうということになりそうですが。

最後にiQOSです。iQOSを使うことで、通常のタバコよりかなり状況が改善することは明らかです。喫煙者が負担することになってしまいますが、上述した生乾き臭の服を着る人に「面倒でもマナーを守るために洗濯をしなさい」というのとあまり変わらないリクエストのように思えます。

まとめ

タバコは中途半端では、お互いにストレスが溜まると思います。喫煙者(特に嫌煙者)としては出来ることならタバコの煙をヒトカケラだって吸いたくないものですし、喫煙者は気後れすることなく、気持ちよくスパスパ吸いたいもの。で、あれば上記のソリューションを実践することで、両者が共存できる飲み会を実現させるのが良いと考えます。たとえば、フロアで分煙されているお店なら、喫煙者としても周囲がみんなタバコを吸うので、遠慮せずに快適に吸うことが出来ると考えます。

難しい飲み会のタバコの煙問題は、創意工夫で乗り切れると考えます。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。