世界・日本経済の不透明感。金は天下の回り物、ばーんと回そう!

アメリカの中央銀行に相当するFRB(The Federal Reserve Board)が、米中貿易摩擦によって世界全体で8500億ドル(約91兆円)、米国だけで2000億ドル(約21兆円)の損失が発生すると警告をしています。

FRBとは「連邦準備理事会」と言われ、日本の日銀に相当するアメリカの中央銀行制度の最高意思決定機関ですが、その決定機関が調査論文で発表した数字です。さらに、確定的ではないとしつつも、米国や世界経済にそれぞれ総生産(GDP)1%程度の減少をもたらす可能性があるとも発表しました。

米中貿易戦争によって世界経済は不透明になっていることを度々お伝えしてきました。事実、9月8日に中国当局が発表した貿易統計によると、8月の輸出入は、昨年の同月に比べて輸出が1.0%減、輸入が5.6%減でした。中国最大の貿易相手国はアメリカですが、そのアメリカ向けの輸出は昨年8月に比べて16%減、そして輸入は22.4%減と大きく減り、このことが最大の要因となって、全体の輸出入が減っているということです。米中貿易戦争が勃発して以来、中国はアメリカからの輸入が先行する形で減ってきました。ところがここに来て輸出がどんどん減ったということは、アメリカの制裁関税がかなり効いてきたということです。

日本から中国への輸出はどうなっているのかと見てみると、昨年に比べて5ヶ月連続で減少しています。そして中国だけではなく日本の輸出は、前年同月比1.6%減の6兆6432億円(7月)で、前年の水準を下回るのは8カ月連続でした。昨年の日本からの輸出の最大相手国は中国で158.977億円 (19.5%)。そして2位のアメリカで154.702億円 (19.0%)でした。この両国の経済が落ちれば日本からの輸出は当然下がり日本経済も悪くなるということです。

そんなことで8月29日に発表された消費動向調査で、消費者態度指数という「今後半年間の、物やサービスを購入する気があるかどうかなどの消費者心理を示す指標」は11ヶ月連続で悪化でした。前月比0.7ポイント低下の37.1でしたが、この数値は50を基準として、数字が大きければ消費意欲旺盛、数字が小さければ消費意欲が減衰していることになり、多くの人が「これから先の景気がよくないんだろうな」って思っていることになります。

さらに今月8日には、景気ウォッチャー調査というのが発表されました。自動車ディーラーやタクシー運転手、小売店の店長など様々な人に協力してもらい、肌で感じる景況感を調査した指数で、3ヶ月後の見通しを示す先行き判断指数というのがこれは39.7前月比で4.6ポイント低下しました。この数字、前回の消費税5%から8%への引き上げ時(平成26年3月)の心理状況と同水準です。

米中貿易戦争など世界経済の不透明感、そして10月からは消費税が上がるその後の日本経済の不透明感から経済に明るさがないです。
私がまたそんなことを言うと「経済は悪くなるのか。じゃあ貯金しよう」ってみなさんが思ってしまうとますますお金が出ない。

いやいやいやいや、ぱぁっと使いましょう!


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年9月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。