なぜALSになると謙虚な人が“横柄”な人になるのでしょう?

謙虚

自分で言うのも何ですが、私は謙虚な人です(^ ^)

しかし、動けない・喋れない私しか知らない方からは、横柄な人と思われることも少なくありません。ALS罹患前の私を知る人にとっては、笑ってしまうほどに人物像にギャップがあります。なぜそうなるのか改めて考えてみました。

謙虚とは自信の裏返しです。譲っても自分の力で何とか出来ると思っているからこそ、謙虚な姿勢を取れるのです。五体満足な私にとって謙虚な姿勢は、ごく自然で当たり前のことでした。それだけ自分の力を信じていました。

しかしALSが進行した私は、自分の力では何も出来ません。譲っていたら、下手をすれば命を落としてしまいます。赤児は泣き叫んで助けを求められますが、私はそれさえ出来ません。そういう意味においては、自信のカケラもありません。

だから必死になって目の前の介助者に訴えます。身の危険を感じる訴えは、荒々しくなることも少なくありません。それは健常者とて同じではないでしょうか?

もちろん健常者と比べて、身の危険を感じる頻度は私の方が多いですが、その訴える姿だけを見て横柄だと言うなら、ALS患者は黙って死ぬしかありません。我々ALS患者は、生きているからこそ怒るのです。そして、生きているから笑いますし、喜びもするのです。

どうか患者の喜怒哀楽の全てを見てやってください。そして我々ALS患者は、喜怒哀楽の全てを伝える努力が必要です。私もこれに対しては、努力が足りないと自覚しています。

介助者と患者は、重度訪問介護においては長時間を共に過ごします。それを継続させるには、お互いの人となりを理解して、お互いが譲り合う場面も必要だと思います。患者が機嫌が悪そうならそっとしてあげて、介助者が働きづめなら用事を後にして一緒に休憩してあげる、そんな感じです(^ ^)

全国の介助者と患者の皆様、そこんとこよろしくお願い致します。

恩田 聖敬


この記事は、株式会社まんまる笑店代表取締役社長、恩田聖敬氏(岐阜フットボールクラブ前社長)のブログ「片道切符社長のその後の目的地は? 」2019年9月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。