ウィーンを公式訪問中の秋篠宮家の次女佳子さまは16日午後(現地時間)、アウガルテン宮殿内にある「ウィーン少年合唱団」の本拠地を訪問され、合唱団のメンバーたちに歓迎された。合唱団の歌声を聞かれた後、少年たちにいろいろと質問されるなど、楽しい時間を過ごされ、音楽の都ウィーンを堪能されたご様子だった。
佳子さまは外国公式訪問は初めてという。緊張することが多いだろう。当方も日本の皇室関係者の訪問を取材したことがなかったので少し緊張した。特に、ドレス・コードがあって清潔な身だしなみが求められる。普段はジーンズで飛び回っている当方もネクタイを持参したほどだ。
16日から5日間、国際原子力機関(IAEA)の第63回年次総会が開催されたこともあって、当方は午前中は、IAEA総会をフォローし、午後からは地下鉄を乗り継いでアウガルテン宮殿に向かった。
それに先立ち、駐オーストリア日本大使館から、報道関係者が取材できるイベントを紹介したメールが届いた。取材を希望する報道関係者は事前にその旨を通達しなればならない。報道関係者の取材が認められたイベントは3カ所、①ウィーン少年合唱団のアウガルテン宮殿、②日本大使公邸でのレセプション、③シェーンブルン宮殿内の日本庭園の視察だ。当方は①と②の取材を申請した。
取材登録直後、大使館から取材注意書きのメールが届いた。報道関係者はイベント開始15分から30分前に到着しなければならない。当然だ。その次に、「佳子様とのインタビューは認められない」という。すなわち、目の前に佳子さまが来られても声をかけたり、質問したりしてはならないというのだ。その次は写真だ。勝手に写真を撮ってはならず、許可された場所でしかシャッターを切ってはならない。要するに、話かけても、写真を勝手に撮ってもダメというわけだ。それでは何のために取材するのかと考えてしまった。
写真が欲しければ、宮内庁から公式写真が手に入る。多分、当方が撮った写真よりいいだろう。次第に取材する意欲が薄れてきた。「わざわざ国連から地下鉄に乗ってアウガルテン宮殿に取材に行くこともない」という思いも強まったが、佳子さまの最初の外国公式訪問をやはり見逃すわけにはいかなかった次第だ。
当方は欧州の王室に関心がある。このコラム欄でも欧州の王室の動向、婚姻について10本余りコラムを書いてきた。特に、王室に現れる幽霊の話や天使の話を聞くと、心が躍る。ハプスブルク王朝の“最後の皇帝”カール1世の息子オットー・フォン・ハプスブルク氏とはウィーンで単独インタビューをしたこともある(「『天使』と交信できる王女様」2012年8月24日参考)、「ハブスブルク家の最後の別れ」)2011年7月18日参考)。
日本とオーストリアは今年、外交関係150年目を迎えた。佳子さまは16日、ホーフブルグでアレクサンダー・フォン・デア・ベレン大統領の歓迎を受けられた。18日にはブリギッテ・ビアライン暫定首相と昼食を共にされる予定だ。
ウィーン入り前に、オーストリアと日本両国間の歴史を学んでこられたと聞く。オーストリアは今こそ欧州ではアルプスの小国だが、ハウプスブルク王朝時代は欧州全土に大きな領土を誇った大国だった。日本との国交を持ったオーストリア、ハンガリー二重帝国時代を経て、第一次世界大戦に敗北。国土を大きく失いハンガリー、オーストリアそれぞれ共和国となった。ヒットラーのナチスドイツに併合され第二次世界大戦で敗北。世界の歴史ではポジティブとネガティブの両面で大きな影響力を行使してきた中欧の国だ。
佳子さまがウィーン訪問後に行かれるハンガリーはオーストリア・ハンガリー帝国時代を共有した。ハンガリーはフィンランドと同様、欧州の数少ないアジア系民族だ。ハンガリー民族は日本人を尊敬している。佳子さまもブタペスト入りされれば肌で感じるだろう。
佳子さまには、リラックスされ、ウィーンの日々を楽しんでほしい。若い皇室代表の一人として、頑張って頂きたい。いずれにしても、「ウィーンを訪ねて下さった」ことに感謝を伝えたい。
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「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2019年9月17日の記事に一部加筆。