日本時間の先週14日午前(現地時間14日未明)にサウジアラビアの石油施設が何者かによって爆撃されました。こういったニュースを聞くと、石油価格は大丈夫かなと心配してしまいます。兎にも角にも、石油は物を「作る」「運ぶ」、いわば経済の基本ですよね。ガソリンスタンドに行ってみたら、ガソリン価格がどんどん高まっていくことはありませんが心配です。
週明けのアメリカ石油先物市場は先週末に比べて10%以上の高値で取引されました。これは日本も同様でした。その後サウジアラビアのエネルギー相は「わが国の石油供給は月内に攻撃前の水準に回復するだろう」と見通しを示したことから、市場は落ち着きを取り戻していますが、果たしてその通りになるのかどうか、真相はわかりません。いずれにしても先物価格がずっと高値で取引されていくことになれば、本当にガソリン価格が上昇してしまう可能性もあります。
さて価格もさることながら、一体誰がやったのかを含めたこれからの世界情勢が懸念事項です。
サウジアラビアと聞いて国名は誰もが知っているけれども、観光に行ったことがある人は少ない国だと思います。中東そのものが日本から遠いエリアと感じるし、漠然とですが「危ないエリア」だという印象で、日本国民にとって関心が薄いと思います。中東の歴史や関係は複雑すぎて、正直私にもわかりません。
以前もお伝えしたように、サウジアラビアとイランは対立をしています。そしてアメリカはイランに対して制裁中にあり関係はどんどん悪化をしている中で、サウジアラビアとアメリカの両国は極めて親密な関係です。
今回の爆撃についてもアメリカとサウジアラビアは、イラン南西部からミサイルが発射され、クウェート上空を飛行してサウジアラビアに着弾したという見方、すなわち、イランが怪しいとなっています。また発射前のミサイルや無人機がイラン国内で待機中の衛星写真もあると言われています。
アメリカのポンペオ国務大臣は急遽サウジアラビアに行き、ムハンマド皇太子と会談しました。最終的な決断はトランプ大統領がすると言っていますが、当のトランプ大統領は「歴史上のいかなる国よりも戦闘への準備を整えている」といしつつも、「戦闘を避けたいと強く思っている」とコメントしました。
攻撃するなら1週間以内と言われていますが、日本人からすれば世界の片隅で起きた事件がきっかけに、日本でもどんどん負の連鎖に陥ってしまうことを懸念します。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年9月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。