なぜ「紹介制」のレストランが増えているのか

東京にも京都の高級料亭と同じように「一見さんお断り」のお店があります。

例えば、紹介制という形をとって、お店に連れて来られた人だけが次の予約を入れられるような仕組みです。紹介制と聞くと、何だか敷居の高いお店に感じるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。そんな営業形態をとるのには理由があるのです。

まず考えられるのが、お店のキャパシティーに制約がある場合です。例えば、カウンターだけの寿司店になると、1人の職人が対応できるお客様は、お任せであっても、せいぜい8名程度となります。

予約が殺到した場合、一般の予約を取っていては、常連の人たちが次の予約を入れられなくなって、離れていってしまう。だから、紹介という方法で、新規のお客様をあえて制限しているわけです。

また、ネットなどを見てくる人は、ドタキャンをしたり、お店で大騒ぎをしたりと、マナーが悪い場合も多いのです。他の大切なお客様に不愉快な思いをさせない目的もあります。

お店の雰囲気は、半分はお客様が作ります。どんなお客さんが来るのかわからない不安な状態より、顔が見えるお客様を相手にした方が経営上も安心なのです。お店とお客様がお互いに信頼関係を構築できていれば、安心して予約を取ってきてもらうことができます。

実際に紹介制を取っているお店に行ってみると多くは、親切で丁寧な接客です。中には、何か勘違いしている上から目線のお店もあったりしますが、多くは上記のような理由で、自分たちが提供したい最高のサービスのためにそのような形態をとっているのです。

東京のレストランは、特定のお客様だけを対象にする「インナーサークル」のお店が増えています。そんなお店は、一部の人たちの間だけで情報がシェアされ、利用されていくことになります。

最近出かけた紀尾井町のお寿司のお店も、渋谷の松濤にあるジビエのお店(写真)も、紹介制ですが、ホスピタリティに溢れ、お料理だけではなくサービスも素晴らしい内容でした。

紹介者責任がありますから、紹介された側も、お店にふさわしい人だけを紹介したいという気持ちになります。こうして、お店の雰囲気が一定のクオリティに保たれる。紹介制のシステムはとても良く出来た仕組みだと思いました。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年9月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。