東京のランチが2000円になる日

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海外から東京に戻るといつも感じるのは、日本の食のレベルの高さです。

美味しいだけではなく、世界のあらゆる料理が幅広く選択でき、しかもコストパフォーマンスが極めて高いのです。

特に驚くのは、オフィス街のランチの価格です。写真は近所で見つけた看板ですが、ほとんどのお店はこのように1000円以下で、ランチのセットメニューを提供しています。

新興国ならともかく、先進国の首都のど真ん中でこの価格は驚異的です。

例えば、ニューヨーク、ロンドン、パリなら、店員がサーブする飲食店は、どんなに安くても2000円程度はします。

それに、チップも入れれば、東京の3倍くらいの価格になっても驚きません。しかも、サービスは、東京の方がハイクオリティだったりするのです。

このように、東京の飲食店が、低コストハイクオリティなのは、何故でしょうか?

私の仮説は、飲食業をやってみたいという日本人が多く、「供給>需要」になっているからというものです。

本来、仕事選びは、収入が高いと人気が高まるものです。しかし、飲食店に関しては、好きだから、あるいは楽しいからやりたいという人が結構多いのです。低賃金・長時間労働でも、仕事自体にやりがいを感じてしまう。

また、飲食業の参入障壁は比較的低く、始めることは簡単です。しかも、うまくいけば、有名店になって大きな成功が得られるチャンスもある。夢のある仕事でもあるのです。

開業資金さえ、何とか調達できれば、起業する事業としては始めやすいのです。続けるのは簡単ではありませんが…。

飲食店を利用する側からすれば、過当競争で低価格が維持されるのはありがたいと思いますが、外国人観光客も増え、人手の確保にこれから更に支障が出てくるのではないか心配になります。

東京が安いものといえば、不動産もそうです。東京の賃貸利回りは、他の先進国の首都に比べて高く、家賃の割に価格は安くなっています。

飲食店にせよ、不動産価格にせよ、東京の「価格の歪み」は、来年の東京オリンピックのようなイベントを通じ、少しずつ解消されていくはずです。東京のランチ価格は、数年後には2000円が当たり前になっているかもしれません。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年9月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。