現在、高知東生さんと「たかりこチャンネル」という依存症の啓発番組をYoutubeでやっているんですけど、この度Vol.4をUPしたので是非皆さんご覧下さい。
これ文科省の依存症予防教育推進事業で、高知さんの故郷高知県に行った際の講演やその他の素材を、ダイジェストにまとめたものなんですけど、ご覧いただくとお分かりの通り、高知東生さんが、生い立ちから、覚せい剤と出会った時の話など、かなり正直に語っておられるんですね。
ブログでも度々申し上げておりますが、高知さんという人は、生い立ちが複雑で壮絶です。
地元のお友達も「小説にしても、誰にも信じて貰えないような生い立ち」とおっしゃっていました。
私なんかよくご一緒に講演やらせて頂いたりすると、「いや~、高知さん覚せい剤ですんでよかったですね!」と申し上げているのですが、私だったら、世の中を恨み、社会を憎んで、なにかもっととんでもないこととかやらかしかねないです。
以前、松本先生のご講演で「生い立ちに逆境や虐待など、背景に過酷な状況がある人はマイナーなものにハマりやすい」ということを聞いたことがあるんですけど、高知さんはまさにこれだなぁと思います。
ちなみに日本でマイナーな依存と言えば違法薬物ですけど、逆に許容され過ぎているのがアルコールやギャンブルで、そのためこっちは単なる習慣で依存症になっちゃう人も多いんですよね。
それとよくアルコールの市民活動をされている今成さんと「一度これ調査してみたいですね~」と、お話ししているのですが、薬物とかギャンブルにハマる人って、案外お酒が飲めない人やお酒を本当は飲めない弱い体質という人も多いです。高知さんもマスコミでは「酒好き」とか書かれてますけど、ご本人「全然好きじゃない」とおっしゃってますしね。
私も高知さんもパッチテストをやって分かったんですけど「本当は飲めない体質」なんですね。
我が家は、私以外誰もお酒を飲めませんし、私もギャンブルへの引き金になるのが怖くてもう10年以上お酒は止めてます。で、高知さんも今はお酒も止めてしまったんですが「別に全然平気」とおっしゃっています。
もちろん私もかつては浴びるほど飲んで、東京ドームホテルのエレベーターの前で不覚にも寝込んでしまったという、赤っ恥の事件など起こしておりましたが、今思えばお酒の席で騒ぎたかっただけで、別にそんなにお酒が好きでもないんですよね。
高知さんの場合は、そんな体質的なこともあって覚せい剤にハマったのだと思いますけど、あれだけ生い立ちも過酷で、芸能界という特殊な世界で生きてこられて、それでこれだけマスコミにバッシングされて、よくあの明るく素直な性格を保てているなぁ~と、主治医の松本俊彦先生とも、いつも感心しきりです。
唯一、ご本人も認めておられますけど、高知さんの生きづらさをあげるとすると、高知さんて、とんでもなく意志が強くて、思い込んだら猪突猛進なんですよね。で、自分が色んな事努力で出来ちゃうから、ポテンシャルの違いが分かんなかったんだと思います。
皮肉にもというかなんというか、この「努力してもできない人はいる」ってことを、私の運転で高知さんはよく理解されたらしいんですよね。
なんせ私は、ADHDじゃないか?と言われておりますが、そのせいかどうかとにかく図形が全く読めないんです。だからナビを見ていてもなんとなくしか分からなくて、しょっちゅう道を間違えるんですね。
で、高知さんにナビをナビして貰っているうちに「いや私もう30年以上運転していてこうなんです!」とお伝えすると「あ~、なるほどね~。努力の問題じゃないってこういう人のことか!」と理解されたらしいです(笑)
あと、ものすごい勘の良さ。
私も親が横領犯で貧困家庭だったので、常に大人の顔色を見て生き抜いてきたので、勘が良いタイプだと思うんですけど、高知さんの勘の良さと観察眼は、はんぱねぇ~です。
この勘の良さは良いような悪いようなで、私程度でも自分で「気付きすぎて面倒くせ~」と思いますが、その何十倍も高知さんは勘が良いですね。そして俳優さんだけあって観察眼が鋭いです。
まぁ私の場合は今やその直感力が仕事に行かせて、依存症者の介入に役だっていますが、高知さんにも是非この能力を依存症界に益々お力添え頂き、役立てて頂きたいものです。生い立ちそして生き方、高知さんは回復者として貴重な生き証人ですから!
講演でも、赤裸々に語っておられるので是非「たかりこチャンネル」ご覧下さいね。
田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
国立精神・神経医療センター 薬物依存研究部 研究生
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト