今週のメルマガ前半部の紹介です。
先日、連合会長が野党共闘に否定的な発言をしたというニュースがありました。
それに対してリベラルの皆さんがまあ荒れること荒れること(苦笑)
【以下、荒ぶるリベラルの一例】
そもそも連合が、共産党や“れいわ”といった“リベラル左派”と組むことは絶対にありえないので、筆者からすれば当然の話なんですが。
なぜ連合とリベラル左派は相いれないのか。彼らリベラル左派の国家像とはどういうものなのか。いい機会なのでまとめておきましょう。
そもそも現役世代にリベラルを支持するメリットなんてなにもない
“リベラル”というとだいぶ範囲が広いので、ここでは共産党やれいわ新選組支持で野党共闘を要求する層をリベラルと呼びます。
彼らリベラルの主張ってだいたい以下のようなものです。
「社会保障のカットも消費税引き上げにも反対!」
本来彼らリベラルの大好きなはずの“大きな政府”の実現には増税が不可欠です。実際、高福祉国の代表であるスウェーデンの社会党は消費税を25%に引き上げました。
でもなぜか日本のリベラルは増税には一貫して反対、もちろん社会保障カットにも反対という立場です。じゃあだれが負担するのか。社会保険料という形で現役サラリーマンが負担させられるわけです。すでに30%ほど負担させられているサラリーマンですが、さらなる負担増の動きは既に始まっています。
【参考リンク】日本経済新聞:会社員の負担増を提案 医療制度改革で日本医師会
特に健康保険料の重い負担に苦しむ大企業正社員中心の連合にとって、上記のような主張はとうてい受け入れられるものではありません。高齢者の社会保障カットとまではいわないが、せめて消費税くらいきっちり上げろというのが連合の、そして多くの組合員の本音です。
【参考リンク】時事通信:消費増税の着実実施を=連合が自民に要請
「財源は企業の内部留保を使おう!」
とはいえ社会保険料だけではとうてい足りないので増税か社会保障カットは不可避なわけですが、どちらも選びたくないリベラルの皆さんがひねりだしたマジックワードが“内部留保”です。
これもう派遣切りの時からいろんな識者がさんざん説明してることなので今更言いませんけど内部留保というのは設備投資等が中心で現金積み上げているわけではありません。そもそもストックに課税してフローで使うというのが無茶な発想で、消費税の代わりに内部留保課税しますなんてやったらどんな優良企業だって5年で潰れます。
むろん多少は現金化の余地はあるでしょうが、それはそもそも不況時に正社員を養うための兵糧的な意味合いもあるわけです。
だから連合からすれば“内部留保”って言葉を出された時点で「バカじゃないの?株主でもない部外者が口出すんじゃないよ」と呆れてしまうわけです。
「消費税ではなく法人税を引き上げよう!」
はい、これもリベラルのみなさんがほぼ全員共通して口にする意見ですが、完全にアホですね。いま世界では熾烈な法人税の引き下げ競争を行っていることは、企業戦士として働くサラリーマンなら誰でも知っていることです。
そんな中、あえて法人税引き上げに出ればどうなるか。黒字部門は法人税率の低い海外拠点に移され、国内には赤字事業だけが残されるでしょう。
つまり優良な雇用の流出です。これも連合としてはとうていのめる話ではありません。
バカバカしいので説明しませんが、他にも「輸出企業への消費税の還付金は大企業優遇」とか、普通のビジネスパーソンからすれば噴飯物の政策ばっかりなんですねリベラルって。
はっきり言うと、企業で働いて税金と保険料コツコツ払っている現役世代からすれば、リベラルを支持するメリットなんて一つもありません。むしろ絶対に政権取らせてはいけない疫病神みたいな存在なんです。
だから連合会長が野党共闘を一蹴するのは当然の判断でしょう。
以降、
リベラルの奇怪な国家観
ポスト終身雇用の社会像
Q:「日本企業でもストックオプションは有効?」
→A:「スタートアップなら夢があるんですけどね……」
Q:「会社に転職の可能性を伝えるメリットはあるか?」
→A:「交渉の一環としては普通にありですが……」
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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2019年9月26日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。