クラウドソーシングで仕事を依頼して感じた「感動と憂慮」

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
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これまで、システムや簡単なツールの開発、改善などは従業員にお願いをしたり、自分自身でやってきました。先日、様々なビジネスをする上でお試しの気持ちで何件か業務をクラウドソーシングしてみました。

はむぱん/写真AC

これまでも業務をアウトソーシングする際は、過去に依頼をしてきた法人にお願いをしていました。今回、何件かクラウドソーシングをして感動、それから憂慮の気持ちが芽生えたので記事にしたいと思います。

Twitterでもつぶやきます。

企業の10分の1の価格で専門家が対応してくれる

私が利用したクラウドソーシングのサイトでは、具体的に依頼したい内容や、要件定義を書き込むとあっという間にあちこちから応募者からの提案が投げ込まれます。提示される金額は様々ですが、どの提案も過去に企業にお願いしていたより圧倒的に安いというのが特徴です。

先日はExcelのマクロを作り込み、煩雑な繰り返し作業を完全自動化するシステムの開発依頼をしました。これまでお願いしていた企業に見積もりを取ったところ、「5万円」という金額でした。

しかし、同じ業務をにクラウドソーシングで依頼したところ、多くは1万円以下、最安で5,000円というものもあり、しかも納期は即日対応可能で、納品後のサポートも1ヶ月対応するという内容です。企業の10分の1の価格ですから、思わずその人に依頼をすることにしました。

「エクセルのマクロ」と言っても、今回依頼を出したのは相当に作り込まなければできないもののはずです。私が自分でやれば2-3日はかかってしまいそうです。それにも関わらず、こんなに安い価格で、さらにサポートまでつけて、引き受けてくれる人がいることに驚きを隠せませんでした。

また、その方は「個人」ではあるものの、これまで20年以上エクセルのマクロ開発してきたキャリアと経験があるのです。お願いする業務を完遂するだけの経験とスキルは申し分ないレベルです。いえ、下手をすると企業に依頼を出して対応してもらうより、品質の面でも良い成果物をあげてくれそうです。これには感動してしまいました。

クラウドソーシングなら品質の安心

私は過去に外注したい仕事を、自身のブログを通じて公募したことがあります。これまで何件か、外注の方とやり取りをしたことがあるのですが、正直うまくいったことはありませんでした。というのも、応募してくれるのは大変ありがたいのですが、どうしても仕事の質やコミュニケーションの面で困難を感じることが多かったのです。

企画書の提出をしてもらっても、こちらがあらかじめ「こういうポリシーに則ったものでお願いします」とお伝えしていたものと大きなズレがあるものを提供があったり、提出期日を守らなかったり、ひどいときにはほぼコピペで原稿が出されたりしたこともありました。相手から提出された成果物のチェックや、お願いをするコミュニケーションの手間を考えると、フリーの方へのアウトソーシングはかえって非効率ではないかと感じてしまいました。

しかしながら、今回利用したクラウドソーシングのプラットフォームのサービスを利用すれば、そのような不安もありません。クラウドソーシングのサイトでは、納品された仕事に評価がつけられます。良い評価を集めることで、次の仕事にもつながりますです。

ですので、仕事を受ける側としては、与えられた仕事を真面目に、スピーディーに、そして低コストでたくさんこなすインセンティブが働きます。結果、仕事を依頼するこちら側としては、安くて高品質な仕事をしてもらえるメリットがあります。

“セルフブラック化”していないか心配だ

私はオンライン教育ビジネスを手掛けており、集客の一環としてSNS広告のマーケティングをクラウドソーシングで依頼出したところ、あっという間に応募が集まりました。企業にお願いをするより、10分の1以下でやってくれるという人が現れたので、その人にお願いをしています。

その方はこれまで広告代理店で勤務してきたキャリアを持っており、一か月当たり500万円もの広告費をハンドリングして大きな成果をあげ続けた広告のプロフェッショナルです。そのような方がわずかな費用で、いたれりつくせりのサービスを対応してくれるのは、驚きを通り越して心配してしまいました。

というのも、この方に限らず、こちらが依頼を出してメッセージのやり取りをすると、あまりにもその対応が早すぎるのです。土日祝日にも関わらず、何か私がメッセージを送信するとまたたく間に返事が返ってきます。外出先ですぐに返事が出せない場合は「帰宅後にすぐ対応します」と短くメッセージが返ってくるのです。これには驚かされるばかりです。

仕事をお願いする側としては、大変ありがたいのですが、その反面、受ける側は大変だという感覚があります。クラウドソーシングの相場はかなり低価格で、お願いすれば受けてくれる人はたくさんいますからどうしても価格の下方圧力がかかるでしょう。

また、公募の段階では他の応募者との競争になります。メッセージの回答は早く、丁寧にすることで仕事を取りやすくなるので手間と時間を取られます。実際、私はやり取りをしていて一番丁寧で迅速に対応してくれた方に依頼を出しました。

仕事をやる側は“セルフブラック化”してしまわないか心配になります。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。