あいちトリエンナーレの会場に2ヶ月ぶりに寄ってきた。つい先日、「表現の不自由展・その後」の再開が報じられたばかりである。文化庁が補助金不交付を発表するなど、この2ヶ月、何度も事件が起きたこの芸術祭もあと約2週間で幕を閉じる。
関西でアポがあり、名古屋で途中下車。「表現の不自由展・その後」の展示のある愛知芸術文化センターに移動。
平日午前なので、人は少なめ。街宣車なども来ておらず。電凸があったのかどうかは不明。まだ例の展示が再開されたわけではない。スタッフは8月頭に来たときよりも増えた気がするが、これは気のせいかもしれない。
ただ、一見すると平和なようで、ダメージは大きい。開始早々に「表現の不自由展・その後」の中断が発表されたが、その後、アーチストたちが抗議声明を出して、展示の中止や、本来の状態から発表内容を変更したのだ。前回、お邪魔した8月8日の段階では2組だけだったが、その後も増えた。この件に関する最新のリリースはこちら。
こんな風に但し書きがあり。
何かこう、寒々しい展示が…。
明らかに異常な空気が伝わってきた。
あいちトリエンナーレをめぐる問題はかなり交通整理が必要な案件であり。この2ヶ月に起こったこと自体が、アートのようだなとか、我が国の問題を可視化したという見方もできる。
ただ、芸術祭の本来の意義が適切に伝わらず、本来の展示を見ることができない期間が長かったという事実には向き合いたい。傷ついたのは観客もアーチストである。
もうすぐこの向こうの扉が開く。建設的な議論が広がること、我が国の現状について健全な危機感が広がることを祈っている。その瞬間、すべての展示が本来の姿に戻り、この芸術祭の目指したことが適切に伝わること、さらには、楽しみにしていた観客やアーチストが救われることを願ってやまない。
編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2019年10月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。