関西電力がトップの八木誠会長を含む役員ら20人が、原発立地先の福井県高浜町の元助役から総額で3億円相当の金品を受け取っていた問題で、関電は2日午後、八木会長と岩根茂樹社長らが記者会見を行い、社内調査の結果を発表した。
記者会見はマスコミ各社が自社のネット媒体で生中継や内容の速報を配信するなど、この問題の深刻さを物語っているが、NHKニュースによると、八木会長は金貨や商品券、スーツなど859万円相当、岩根茂樹社長は金貨150万円相当をそれぞれ受け取ったことを明らかにした。
また、記者会見の前からも報道され始めていたが、受け取った3億円あまりの約7割を、原子力事業担当の役員が受け取っていたことも公表された。
記者会見の焦点の一つが、進退を含めて経営責任をどう取るかだったが、八木会長は報酬の2割を2か月、岩根社長は報酬の2割を1か月、それぞれ返上とするだけで、辞任は否定した。
辞職をせずに留任する意向についてはこの日朝、朝日新聞が「関電が2日午前に開く臨時取締役会では岩根、八木両氏を含む役員らの進退を問う議案を予定していないことがわかった」と報道するなど(参照:朝日新聞デジタル)、想定の範囲内とも言えた。
一方、関電ほどの公益企業となると社外の組織でも重職に付いており、その進退も注目されていた。
その一つが、関西経済連合会(関経連)副会長に付いている八木氏の対応だ。関経連は関西を拠点にする主要企業で構成する経済団体。関経連の会長は関電、住友金属、東洋紡などの在阪の名門企業トップが歴代つとめており、八木氏の会長就任も近頃は取りざたされていたが、日経新聞は9月30日午前の段階で、八木氏を会長に推す案について「現状ではそんなことを言えない」とする関係者の認識を報じていた。
さらに、読売新聞は2日夕刊(東京14版)の一面で「八木会長 関経連副会長辞任へ」との見出しを掲載。日経のソースと同一人物かは不明だが、関経連首脳の「このままでは表だった活動ができず、けじめをつけるべきだ」との談話に基づき、副会長を辞任するとの見立てに立っていた。
ところがこの日午後の記者会見で、八木氏は報道陣から関経連の職務の進退を尋ねられても、「ご相談の上ですが引き続きやってまいりたい」と留任する意向を示した(参照:産経新聞)。
八木氏の留任意向は、報道各社の見立てが外れただけではなく、関経連内部の想定を超えるものだったようだ。しかし、八木氏が関経連の副会長に留任するつもりでも、“開き直り”で社会的に厳しい声に晒されるのは必至だ。関経連内部からも異論が出てくる可能性もありそうだ。