室井佑月氏が指摘するラグビー盛上がりはメディアが作り上げたものなのか?

川松 真一朗

東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。

室井佑月氏のツイート発見

一昨日は茨城国体視察の為に、水戸に向かっている電車の中で以下のツイートを発見。

室井佑月氏が私の認識とは全く異なる見識をツイートされていたので、ちょっと驚いてしまいました。当該ツイートはこちらです。

それに対して私はこうツイートしました。

つまり、室井佑月氏はこの日本列島で起こっているラグビームーヴメントはメディアが無理やり作り上げたものという前提で語っています。確かに、メディアがこの活躍を伝えなければ熱は広がりませんから、ある意味で正しいと言えるかもしれません。

でも、2015年イングランド大会もココまでの熱狂にならなかったものの大変な「五郎丸ブーム」は起こりました。それもエディJAPANが初戦で南アフリカに勝ったからこそ、地面から湧き上がるような日本応援の波が出てきたわけです。

誰がラグビー熱を発信したのか

今回は更に「日本開催」「初戦突破」「世界2位アイルランド撃破」などの更なる要素が加わって、自然発生的にラグビー熱が伝播しているものと認識しています。もし、仮にメディアの力で熱狂の渦を本気で作り上げる事が出来たなら、大会前からもっと盛り上がっていたと思います。ホントに盛り上がっていたら、どんなに大会PRが楽だったか。

(苦労を乗り越えてきた嶋津大会組織委員会事務総長)

今回、試合を放映している日本テレビは一生懸命にあの手この手で大会を盛り上げようと様々な企画を打ち出し、大会の認知度を上げていた事は否定しません。TBSも「ノーサイドゲーム」を絶妙なタイミングで放送し浜畑選手(廣瀬選手)を中心に本大会の成功に貢献しているのは間違いないと考えます。それでも日本代表のガチンコ勝負での大勝利による感動無ければ、この熱狂はあり得ないのです。

担当職員でさえ懐疑的だったラグビー盛り上がり

大会前は正直なところ、「日本でラグビー?」「無理じゃない?」「日本勝てないだろうし」みたいねネガティブな雰囲気がありました。チケットも売れるかどうかの心配も。「ファンゾーンって何?」的な声と向き合い、根気よく成功を信じてきた私からすれば、今のラグビー熱はそう簡単に出てきたものではないと実感しています。

そして今や、多くの方から「川松さんの言う通り、もっと色々と本気で向き合っておけば良かった」と各所で言われています。例えば、都が設置した有楽町ファンゾーンも最初は限られた日数以上にオープンする予定はなかったんですよ。

参考までに紹介をしておきますと、今年2月1日の都議会での委員会で私は以下のような発言しています。予算規模感を決める最後の攻防です。あくまで、公式には委員会議事録がこのように残っていますが、水面下でのやり取りは延々に続きました。つまり、ラグビー担当になった開催自治体の職員でさえ、ラグビー熱には懐疑的だったのです。

【オリンピック・ラグビーワールドカップ特別委員会 2019年2月1日議事録抜粋】【川松発言】

ラグビーワールドカップ二〇一九日本大会におきまして、東京スタジアムの使用をワールドラグビーや日本ラグビー協会に要請を始めて以来、開催都市の責任としてファンゾーンを設置する、これが重要なんだということを私たちは受けとめて、オリンピック・パラリンピック準備局に対して再三にわたり、ファンゾーンの内容の充実、試合の開催と同等の力を入れて設置準備を進めていただくよう、何度も要望を繰り返してまいりました。

二〇一五年イングランド大会におきましても、理事者の皆様もファンゾーンを視察し研究する必要があることを強く主張してきたわけであります。特にイングランド大会におけるロンドン市内に設置されたファンゾーンでは、単純にパブリックビューイングを行っているのではなくて、大会全体を盛り上げるために、各所に工夫をして、老若男女が大会に対して期待感を膨らませるような雰囲気をつくっていたのが私にとっては印象的であります。

また、開会式を初め、イングランド大会のメーン会場となりましたトゥイッケナム・スタジアムの近くに設置されましたリッチモンドのファンゾーンでは、チケットホルダーもノンホルダーも、各試合、大会を楽しむためにエンターテインメントの要素が散りばめられており、広い空間全体に誰もが一歩足を踏み入れると、わくわく感を持った、そういうファンゾーンであったわけであります。

二〇一五年に比べて、四年後でありますけれども、この四年間の間にもIT関連の技術は進歩し、特に日本においてはエンタメコンテンツをたくさん抱えている中で、前回大会を超える夢が詰まるファンゾーンを設置して、九月二十日の開会式、開幕戦以降、十一月二日の決勝まで東京中、日本中にその熱を伝える拠点として、ダイナミックに東京のファンゾーンを運用していく必要があるのは明白であります。

これを私が公式議論に乗せなくては埒が明かないと、議会で発言したのは実に大会7か月前です。しかも、行政とすれば予算積み上げが終わっているタイミングで、私としては最後の勝負に出た日でもありました。結果、この声に耳を傾けて頂き、有楽町ファンゾーンは大きく内容を変えるのでありました。

話を元に戻しますが、以上のような事から、室井佑月氏が今のラグビームーヴメントをして「メディアの仕業」かと思ってしまうのも当然とも言えます。それくらい日本におけるラグビー認知度が2019年9月20日の開幕ならびに開幕戦のJAPAN勝利を境にして変わったのではないかと。大会が始まって突如として景色は一変したんだと思います。

私は素直に、室井佑月氏のような方にこそ、今一度、日本代表のゲームや世界最高峰のホンモノのプレーを体感して頂いて、このラグビー熱を生み出しているのはメディアはではなくて、選手1人1人の熱いプレーなんだという事を知って頂ければ幸いです。

他競技の選手も感動している

私は昨夜、大分でニュージーランドvsカナダのゲーム観戦後、濃霧で交通規制のかかる由布岳を越えて博多に深夜に到着。一泊して起きたら、とあるオリンピック金メダリストから電話がありました。

「ラグビーを初めて見たけど、凄いな。走って、タックルして、怪我もしないで最後まで走り続けて、こんなスポーツだったとは驚いた。本当に感動した」という内容だけのお電話頂きました。

勿論、この後に日本ではトップリーグ、大学ラグビー、高校ラグビーなども行われていきます。こういう声が、ラグビー選手1人1人の励みになるんだろうと思います。

ちなみ私は今は、大阪花園ラグビー場に向かう新幹線の中です。

そういえば「スクラムって何しているの?」という質問も多いので、超基本中の基本でスクラム解説をしました。こちらも是非、ご覧下さいませ!!

川松 真一朗  東京都議会議員(墨田区選出、自由民主党)
1980年生まれ。墨田区立両国小中、都立両国高、日本大学を経てテレビ朝日にアナウンサーとして入社。スポーツ番組等を担当。2011年、テレビ朝日を退社し、2013年都議選で初当選(現在2期目)。オフィシャルサイトTwitter「@kawamatsushin16」