9月後半になり、日本のネット空間での日韓問題への関心はピークアウトした感もあるが、韓国では文在寅政権を支持する「進歩派」と政権批判の「保守派」が互いに大規模集会を開いて、世論の主導権を握ろうとリアルの戦いが激化している。
日本でも周知の通り、韓国では現在、文大統領が、醜聞の続出している盟友、曹国(チョ・グク)氏を法相に任命する強硬策をとって、政権非難が巻き起こり、世論調査でも政権発足から不支持率が最も高い53%になるなど政局が混迷している。
ところが先週末の9月28日には進歩派がソウルで検察を糾弾し、文政権の検察改革を後押しするデモを開催。主催者推計で150~200万人が参加したと発表された。
さすがにこれは水増しされた感はあるが、現場を訪れたジャーナリストの徐台教氏は、「延べで20万から30万人の間」と見積もった。ただ、徐氏は有識者への取材結果も合わせて、政権支持層以外に広がるかは現時点では慎重な見方をしている。
これに対し、保守派は10月3日、「300万人集会」を合言葉に結集。主催者発表では「300万〜500万人」と気勢を上げたが、アゴラでおなじみの元韓国国防省分析官で、デモにも参加した高永喆氏のFacebookによると、韓国の地上波テレビ報道では参加者数は3,000人としか伝えなかったところもあったようだ。
ただ、それでも現場を写した画像などからは「数十万人規模」(文春オンライン)は最低でもあったとみられ、デモの人数では保守派が上回ったとみられる。
韓国メディアでは、エスカレートする「デモ合戦」について比較、あるいは先行きを懸念する論調も出ている。KBSニュースは「200万 VS 300万」と銘打ち、効果的な編集もしながら双方のデモ合戦を振り返る動画をネットに配信。
聯合ニュースは4日午後の配信記事(韓国版)で「極端な国論分裂を懸念する声が高まっている」と伝え、双方がデモなどを通じて先鋭化し、社会の分断が進むことへの憂慮をにじませていた。