どう見る、好調な株式市場

岡本 裕明

日経平均が22472円と年初来高値を更新しました。チャート的には10月10日の安値から昨日まで1200円ほど一気に上げたわけですが、その主因は米中通商問題が一部でも解決に向かったことが後押しし、円安も手伝い、我慢していたものが吐き出されている感じに見えます。

東京証券取引所(写真AC:編集部)

今後の予想についても専門家は強気の声が大きく、目先23500円、いや、24000円だという声も出てきています。チャートだけ見ていると上に向かう公算は強く、仮に24000円を抜けてくるとその上は26000円という途方もない見方もあるのですが、果たして今回の株価上昇とその「本気度」はどの程度なのか、考えてみたいと思います。

まず、消費税が10%に上がった10月のこの時期に株価が高値を更新したという事実に着目しています。いつもであれば反動で消費税恐怖症で縮み上がっていたはずですが、今回はすんなりいったと思います。これは以前指摘したように2%上がったけれどこれは2%bp(ベーシスポイント)であって消費税だけの上げ率を見ると1.85%なのです。8%に上がった時が2.9%の上昇だったこと、さらに今回は軽減税率にポイントなどの大盤振る舞いがあったため、実質的には影響は軽微で、むしろ一部の層の心理的抵抗感が強かったのだろうと考えています。

次に国内景気ですが、台風による影響はむしろ建設業などの景気を引き上げる結果になるとみています。保険業界にとっては5000億円から1兆円とも言われる保険金払いが発生しますが、むしろ、それが民需につながると考えれば経済だけを考えればプラスになります。これはアメリカでハリケーンが来たときなどはタイムラグを経て消費がぐっと伸びるのと同様です。

ラグビー景気もあるでしょう。訪日外国人は1-8月で2200万人強で韓国、香港の落ち込みがあるにせよ、記録を更新できるペースになっています。個人的にはこのままオリンピック景気につなげられるとみています。また懸念されるオリンピック後ですが、法人などでオリンピック明けを待っている待機投資があるため、懸念されるほど落ち込むとは考えていません。

では世界はどうか、ですが、アメリカは以前から指摘しているように11年目の景気拡大期に入っていますが、大統領選が1年後に迫る中で景気対策など有権者に気持ちの良い対策をトランプ政権が打ち出すはずで(ウォーレン候補が理想と考える「破壊経済」との好対照になるはずです。)これを素直に受け止める可能性はあります。アメリカの金利も引き続き下がるとみられ、株式市場にはプラス、円ドルにはマイナスの要因となります。

外交については、米中関係は一進一退、北朝鮮は進まず、中東は混とん、トルコは言うことを聞かず、というあらかたの想定をしています。一方、ここにきて英国のEU離脱交渉に進展が見られるとのことでひょっとするとうまい離脱が行われる可能性が見えてきました。これが出来れば明るいニュースになります。

一方、悪いニュースとしては欧州の景気観がいまいちです。特にドイツの7-9月GDPは注目です。中国に引っ張られている影響も大きいでしょう。IMFの新しいチーフエコノミスト、ゴピナート氏が世界経済は90%の国・地域で景気が減速しており、貿易戦争などの地政学リスクが深刻になれば、世界景気は不況に近づく」とネガティブコメントを発していますがややセンチな感じに見えます。

個人的には2020年にかけて持ちこたえらえるファンダメンタルズは作れるとみています。これは組み合わせ問題で一番キーになるのが新興国に資金が回るためにアメリカが利下げを継続する姿勢がある点を考えています。次いでトランプ大統領は中国と通商問題を来年にかけてどこかで更に詰めるとみています。これは留保していた投資を促進させますのでプラスです。つまり心理上の問題の解決です。

このあたりを考えると日本の株式市場は基本的にはプラスだと考えています。もちろん、どこでどんな事件が起きるかわかりませんのであくまでも現状の経済状況だけを見ての判断です。考えてみてください。オリンピックが来るんですよ。マインドはプラスになるでしょう。あえて下を向く必要はないと個人的には思います。

明るい未来を期待しましょう。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年10月17日の記事より転載させていただきました。