文在寅大統領の支持率が、ギャラップ社の調査で初めて40%を切って39%になった(前週は43%)。
この原因のひとつはチョ・グク法相問題で、辞任により支持層の熱気も冷めたらしい、しかし、もうひとつは、平壌で去る15日、ワールドカップ2次予選の南北サッカーが「無観客・中継なし」で実施され引き分けたことによる失望感だったようだ。
肯定評価の理由として「北朝鮮との関係改善」との回答が、8%から4%に下がったのだ。これが職務遂行支持率に影響を及ぼしたものとみられる。
朝鮮日報の社説によると、以下のようにひどいものだったようだ。
韓国選手団は平壌空港での入国審査で所持品を全てチェックされ、通関だけで3時間。肉や海産物など選手用は没収されたそうだ。選手たちを疲れさせたかたらしい。ホテルでも監禁に近く、土産物店にもは近づくこともできなかった。現地入りしてからも携帯電話や通信機器の使用が制限された。
韓国からは選手・スタッフ団以外の渡航が認められず、ファンやサポーターはもちろん報道陣らの入国はいっさい許されなかった。チームは、ほぼ自由を奪われた軟禁状態だったという。
テレビ中継はさできず、KBS放送は北朝鮮から受け取った試合の映像はあるが、画質が記録用にしか役に立たない水準だとして放送しないそうだ。競技場の様子、暴行を繰り返す北朝鮮選手で、韓国の世論が激昂するのを文在寅政権が嫌ってのことと思う。
韓国統一部の金錬鉄(キム・ヨンチョル)長官は「失望した」が「(無観客試合は)韓国のサポーターを受け入れなかったことによる公平な対応という見方もある」と北を庇ったそうだが、馬鹿げたことだ。
報道によると、孫興民(ソン・フンミン)キャプテンや大韓蹴球協会の崔英一(チェ・ヨンイル)副会長は「相手のラフプレーがあまりにもひどく、暴言も多かった」「けがをせず帰ってこられただけでもよかった」「肘」を振り回して膝を当ててきた」「戦争のようだった」と言っている。
負けると粛清の危険もあり、北朝鮮チームも必死だったようだ。韓国に亡命している太永浩(テ・ヨンホ)元駐英公使は「北朝鮮が負けていれば、最高尊厳(金正恩氏)の顔に泥を塗る結果になる」「韓国が勝ったら、孫興民選手の脚が折られるとかしてたかもしれない」とかいっているそうだ。。
韓国チームは「ソウルでは勝つと」といっているが、来ないのではないか。来たとしても難癖つけて途中で引き返すとか言うのがおちだ。
なお、北への韓国革新派のコンプレックスは、近著『ありがとう、「反日国家」韓国 – 文在寅は〝最高の大統領〟である! 』(ワニブックス)でも詳しく書いた。
八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授