昨日、書いたこのエントリーがバズっており。
盟友おおたとしまさ氏は、このエントリーを読んでペヤングを買い。盟友中川淳一郎からは「今度は歌詞を左翼風に書くという芸を期待」と言われ。感謝。
ただ、いかにもクソパヨクとバカにされそうなのもシャクで。労働に関する問題に熱い一方、偽善、ダブスタ、ブルジョワ性そのものと言われているのだが…。『BRUTUS』『Pen』『GOETHE』『LEON』『東京カレンダー』などのキラキラした世界も好きで。
このあたり、同じ一橋大学つながりということもあり、「田中康夫の再来」と呼ばれる所以であり。いや、政治家にはなっていないし、作家でもないし、なんせ、田中康夫さんはご存命で今も元気に活動中だけど。
というわけで、文体を鍛える意味で、東京カレンダー風にカップ焼きそばの作り方を書いてみる。
金曜日までの慌ただしさから解き放たれ、東京を抜け出す「ひとつ上の横浜」。ワクワクするお出かけ前だけど、きらめく週末の前には、夜食をとってもノープロブレム。夜中までやっているバルで泡のグラスを傾けるのもいいけれど、あえてカップ焼きそばを楽しむのも港区流。開放的な気分を盛り上げるロケーション、アクティビティ、シーンの前に、麺、ソース、マヨネーズのハーモニーを楽しもう。
大盛りなどのギラギラしたサイズは”子供”に任せ、ハイスペック男女のカップ焼きそばご飯会は上質にこだわりたい。お気に入りの水、信頼できるケトルなど時代に流されない上質なものを取り入れることでこそ実現する高揚感。誰もが認める名品は、自分の価値を高めるだけでなく、所有する人の幸福度を物語る。
普段のペヤングの先に、脳裏に浮かぶ星付きレストランで過ごした「艶やかな記憶」。その記憶の糸をたどり寄せるような作り方。
広尾の麻布ナショナルで購入したお気に入りのミネラルウォーターをバルミューダの電気ケトルに入れた瞬間に広がるきらめき。派手さを前面に出さずとも、隠しきれないラグジュアリーさを滲ませる。
この3分間で、早くも何かがハプンしそうなアトモスフィア。人生に熱狂する、常熱体質(パッショナブル)な男女たちは、上質感のある会話を楽みつつ、いまこの瞬間を楽しむ。
お湯は正しい量を注ぎ、沸騰されたものを使うのが基本。この港区クオリティのこだわりが、僅差のような大差を生み出す。可能性を試し続けるハイスペック男女は最後まで妥協しない。
3分後にやってくる、リア充をこえたモア充。基本をおさえた上での、上質。この本能の一皿の向こうに広がる幸せを噛み締めよう。
最新作、よろしくね。
編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2019年10月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。