お金がありすぎると「不幸になる」理由

人生の制約要因は「お金」と「時間」の2つです。この限られた2つのリソースをどのように配分するかをバランス良く考えていくのが、その人のライフスタイルを決めます。

写真AC:編集部

お金も時間も多ければ多いほど、人生の制約が小さくなりますから、幸福になると考えるのが自然です。しかし、お金も時間も一定量以上ありすぎると幸福ではなくむしろ不幸になってしまうということに最近気が付きました。

これは、ネット上で誰かが書いているのを読んで、なるほどと思ったのですが、経済学には「限界効用逓減の法則」というのがあります。財が1単位増える場合、それによる効用、つまり満足度が徐々に減っていくという現象です。

例えば、資産が100万円だったのが200万円に増えれば、資産倍増で経済的な満足度は大きく高まります。しかし、同じ100万円の資産の増加も、元々の資産金額が大きくなれば、それによって得られる経済的な満足度は徐々に下がります。

1000万円が1100万円になっても100万円の時より効用は小さくなり、1億円が1億①00万円になっても、誤差にしか感じられなくなるでしょう。

お金は一定以上増えると、それ以上増えていっても使いきれないし、何も変わらなくなってしまうということです。

その一方で、お金を持つようになると、お金を目当てに急に人が集まってきたりします。お金に関係なく、お付き合いしてくれる真っ当な人もいるでしょうが、中にはお金に関してとんでもないことをする人がいたりします。

そうなると、人付き合いをする時に、徐々に疑心暗鬼となってしまい、安易に信用することができなくなっていきます。神経を尖らせて、いつも「誰と付き合わないか」ばかり考えているのはストレスです。

結局、ある程度以上になると、お金が増えても満足度は上がらないのに、人間関係では面倒なことが多くなる。だから、トータルでは不幸になってしまうのです。

お金がありすぎると不幸になる。一見、不思議に思えるかもしれませんが、理由を聞くと何となく納得できます。

この問題の解決策は、自分が必要以上のお金を手放すことではないでしょうか。

お金持ちがお金に執着し、結局不幸になって一生を終えてしまうのは、何とも滑稽で愚かなことだと思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年11月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。