年収200万円の女性が、400万円稼ぐ男性を「年収低い」は間違い?

黒坂 岳央

イラストAC:編集部

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
※Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka

LIMOに婚活で「年収400万円は低い」と断言する年収200万円の女性の闇という記事が公開されており、なかなか興味深いと感じました。

記事によると、年収200万円の女性が、年収400万円稼ぐ男性を「年収低い」というテーマについて解説しています。

いかにも燃えそうなテーマで意見を述べるにはかなり勇気が必要でしたが、できるだけシステマティックに解説していきます。

婚活はお互いのニーズをマッチングさせる市場である

そもそも、結婚は自分がメリットを得るためにするものです。

「愛のためだ!メリットなど考えない」

など主張が返ってきそうですが、人間は本質的に利己的な遺伝子に突き動かされて行動する動物です。「愛のため」というのも「自分が相手に愛情をかけたい」という自身の欲求を満たすための意図と解釈することが出来るのではないでしょうか。

かくいう筆者も自分のメリットのために結婚をしました。奥さんを愛するから、人として尊敬しているから、一緒にいたいからという、完全に自分本位の欲求のためです。が、相手も筆者との結婚にメリットを感じていたようなので、我々のケースについても、お互いのニーズがマッチングして成約したケースと言うことができます。

婚活とは、結婚という制度上の契約を結ぶことで、お互いのニーズをマッチングさせる市場と認識しています。人にニーズは様々ありますが、「自分がメリットを得るためにするもの」というファンダメンタルな部分が揺らぐことはないと考えています。

お互いにメリットがないと成約しない

この世の中に一方的な関係はありえません。ビジネスは言わずもがな、自分にメリットがない相手と取引することはないのです。「そうはいっても、親子の関係は無償の愛ではないのか?」という反論が聞こえてきそうですが、これについてもお互いにメリットを享受し合うマッチングが成立しています。

親は子供を育てることで、成長を見守り、自分の遺伝子を後世に残し、親という役割をまっとうするニーズを満たすことができます。そもそも、「子供が欲しい」という自分の欲求がなければ、子供を授かり愛して育てるということはないのです。

つまり、親子の関係すらもお互いにメリットを享受し合う関係と言えます。

高収入を求めることは本人の自由

今回の記事についていえば、婚活女性が相手の男性を値踏みすることについて解説しています。この記事に対して、「自分が年収200万円のくせに、相手はその倍以上の年収を求めることがおこがましい」などコメントが寄せられているようですが、筆者はそこは問題と思いません。

生きていく上でお金は必要ですが、だからといってお金だけで結婚が成約するかといえばそう単純な話ではなく、性格・価値観・家庭環境など実に多面的な要素が複合的に絡み合い、相手と結婚するかどうかを決めるものと考えます。

イラストAC:編集部引用

とはいえ、婚活という市場においては、相手のことを何も知らない状態でアプローチし合うわけですから、年齢や年収と言ったスペックありきで始まる点は否めません。こうした状況において、成約するためにお互いのメリットのマッチングが必須となります。あまり高収入を求めてしまうと、絶対数が限られる事実がある以上、統計的に成約しづらくなるのが現実です。

ですので、年収200万円の女性が400万円の男性を「低い」と評価することは個人の自由なので問題ないのですが、「あり」と思う場合に比べて相対的に成約しづらくなることだけは間違いないでしょう。

婚活の難易度は自分が決める

筆者は婚活をしたことがないので恐縮ですが、データや事例だけを見て見解を述べることを許してもらうならば、婚活の難易度は自分が決めるものと認識しています。

若さと年収が伴う相手は、どうしても人気があります。有名タピオカ店に長蛇の列ができてしまうのと同じで(最近は人気に陰りが出てきましたが…)、人気の物件には市場原理上、他のライバルとの競争になります。

ちなみに「年収400万円」は普通より上の水準です。2017年就業構造基本調査に基づくデータによるならば、年収400万円以上の未婚男性は3割程度とあります。更にこの男性の結婚適齢期かつ実際に出会える物理的距離、婚活市場に参戦している条件を勘案すると、ドンドン有効母数は減っていきます。上を目指すほどライバルの台頭と、絶対数の減少から難易度は必然的に高まります。

いじわるで言っているわけではなく、統計データ上の事実が筆者の代わりに物語っていて、筆者はその代弁者に過ぎないのです。

結論的には、年収200万円の女性が400万円の男性を「低い」とみなすことに問題はありません。筆者だけでなく、誰にも彼女を断罪する権利はありません。が、婚活の難易度が高まることを本人がどれだけ正確に認識をしていて、どれだけその事実を受容するかは別の話、ということだけなのです。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。