税金はどこの国で払うべき?Google担当者らとデジタル課税論議

福田 峰之

日米イノベーションサミット2019で「デジタルイノベーションによる大改革」というパネルに参加しました。

他のパネラーは、アンドレアス・ヘルマン(全米税制改革協議会 デジタル課税PT)、マックス・パパス(Google 公共政策マネージャー 共和党担当)。モデレーターは、水谷翔太(フィルコマンド代表取締役・元大阪市天王寺区長)です。セッションのタイトルは「デジタルイノベーションによる大改革」ですが、米国の税制に関わる団体、それもデジタル課税担当者とGoogleの公共政策担当者とのパネルなので、必然的にデジタル課税の話になってしまいます。

最後のパネラー間での質疑応答でこのような質問を投げかけました。「僕は衆議院議員をやっていた者として、自国で生まれた企業の税金は、1円でも多く自国に払ってもらうたいと思うのですが、Googleは出来るだけ米国に税金を払いたいと思っているのですか。全米税制改革協議会は、米国に払うべきと思っているのですか」と。

Googleのマックス・パパスさんは、「時代が変わり、全世界で様々なサービスを提供しているので、国際社会でルールが決まれば、それに従って各国に税を払う事は、おかしいとは思わない」と言っていました。Googleは世界カンパニーなので、税率の議論を除けば、米国での納税に拘っているわけでないことを知りました。

全米税制改革協議会 デジタル課税PTのアンドレアス・ヘルマンさんは、「各国がバラバラに個別企業を名指しで、税をかけるというのは、これまでの国際社会の税システムを壊すことに繋がる。国際社会の共通のルールのもとで徴税は行われるべきで、フランスが言うようなデジタル課税は反対だ」と言ってました。

つまり、イノベーションでビジネスモデルをつくり上げた米国企業を名指しで、課税するのはおかしい。僕が思うに、税金は無い方が良い(減税)が、払うなら海外ではなく国内で…ということなのでしょう。

「徴税の在り方はもちろん大事ですが、使い道もエビデンスを踏まえ、新たなテクノロジーを使い、特に社会的弱者に公平に手当てできる手法をデジタルイノベーションで作り上げていくことも大切」とタイトルを踏まえて話しました。日米の各階層で、政治も経済もビジネスルールもしっかりと議論し合うことが大切だと改めて感じたシンポジウムでした。


編集部より:この記事は多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授、福田峰之氏(元内閣府副大臣、前衆議院議員)のブログ 2019年11月25日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。