「選挙の神様」という本を書いているが、私が実際に選挙の神様と目しているのは小沢一郎氏である。
選挙の機微を小沢氏ほど知っている人はいない。
小沢軍団と称される小沢氏の秘書団ほど実際の選挙で役に立つ人は滅多にいない。
選挙の仕切りは、小沢軍団に任せるのがいい。
小沢軍団の特徴は、選挙が終ったらさっと選対から引き揚げてしまい、何らの痕跡も残さないところである。
何事にも徹底している。
これでもか、これでもかと思うほどに地元の企業巡り、有力者巡りをするそうだ。
全国の選挙区情勢に小沢氏ほど通じている人はいない、と何度か聞かされたことがある。
中選挙区制選挙時代に自民党の選挙を仕切っていた人だから、今の小選挙区制選挙にその手法がどれだけ通用するか分からないが、ぬるい選挙しか知らない方々にとっては多分一種のカルチャーショックになるだろう。
その小沢氏と自民党の福田康夫総理の間で大連立の協議が進んでいたことがあった。
論座に掲載されている佐藤章さんの「小沢一郎『福田総理は誠実だった』」という論稿の中に小沢一郎氏が福田康夫総理との間で進められていた大連立構想が登場し、挫折するまでの経緯が簡潔かつ要領よく記されている。
小沢氏は、論座の中で
大連立はやった方がよかった。…とにかく当時は経験の少ない若い議員が多かったから、少し行政経験を踏んでおいた方がいいだろうと思った。政権を取った時にまるきり素人が行政異入るより多少行政経験を積んでおいた方がいいに決まっているんです。…福田さんが本当にいい方だったんです。素直ないい方です。だから、あの時に大連立をやっていれば、日本政治はいい方向に変わったと思いますね。
と述懐されている。
奇しくも、当時の私の所感と同じである。
しかし、後悔先に立たず。
まあ、いつものことだが…。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2019年12月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。