駐日ロシア大使館(東京都港区)の公式ツイッターが産経新聞の記事に抗議するコメントを投稿。アニメーション動画も作成する手の込みようが、ネット民の注目を集めている。
ロシア大使館は3日、ロシアの愛国教育を巡る記事について次のようなツイートを連続で投稿した。
❗先日🗞️「#産経新聞」に掲載された、現在のロシアの愛国教育と、ナチスドイツの「ヒトラーユーゲント」とを横並びにしようとする内容の記事に、甚だ憤りを感じている。
— 駐日ロシア連邦大使館 (@RusEmbassyJ) December 3, 2019
ロシア政府が問題視したのは、11月19日に産経新聞で掲載された「【ロシアを読む】学校でライフル組み立て…進む“軍国化”教育」。モスクワ特派員が、幼少期から青年期まで、未成年に対して軍国主義的な教育政策を強化している動きをレポートし、特にロシア国防省が近年、8〜18歳の少年少女を対象に、戦史研究や屋外活動などを通じて愛国教育を行う「ユナルミヤ(若き軍隊)」というプログラムについて、ツイートにもあるように、
戦前のドイツで、ナチスの支配を支えた青少年教化組織、ヒトラー・ユーゲントを想起させる運動だ。
と特派員が論評した。これがよほど癪に障ったらしく、大使館はツイートを連続投稿。2本目では、「類似比較は許されない」とし、ナチス思想の宣伝などを法的に禁止していることを根拠に挙げた。
☝️このような「類似比較」は、場違いで、かつ許されるものではない。ロシアではナチス思想を宣伝し、それを想起させるシンボルを使うことは、法で禁じられている。
— 駐日ロシア連邦大使館 (@RusEmbassyJ) December 3, 2019
ソビエト連邦時代のロシアは第二次世界大戦でナチス・ドイツとの独ソ戦を展開。ソ連は一時、首都モスクワ近郊にまでドイツ軍に迫られるなどの苦戦を強いられ、民間人も含めて数千万の犠牲者が出たとされる。そうした歴史的な経緯も苛立ちの背景にありそうだ。
さらにネットの注目を集めたのが大使館ツイートの3本目。産経新聞のロゴにコウモリが何匹もはばたくアニメーション動画を作成している。
☝️それとは逆に、わが国における若者の愛国教育は、一部の「民主主義的な」ヨーロッパ諸国(バルト各国やウクライナをはじめ)でますます頻繁に見かけるようになった、ナチス主義への逆戻りや新ナチス主義の台頭を防ぐことを目的としている。
🔗https://t.co/a4F2uQuDUi pic.twitter.com/ksavHmX63y— 駐日ロシア連邦大使館 (@RusEmbassyJ) December 3, 2019
この動画についてはネット上では
何で産経新聞から蝙蝠を飛ばすか意味が分かりません 悪魔城ドラキュラとか? 日本人に分かりやすい表現にした方が良いと思いますよ
ロシア大使館産経に喧嘩売ってて草
主張は分かるが最後の産経の表紙からコウモリがバサバサ出てくるやつは喧嘩売ってるやろ
といった反応が相次いだ一方で、
GRUっていう諜報系の特殊部隊の紋章にコウモリが使われている
との指摘もみられ、ある種の圧力をかけているのではと読み解く人もいた。
一般の日本人には「細か過ぎて伝わらない」けれども、ロシア通には分かる「ダイイングメッセージ」があるのか。
ロシア大使館には対日情報収集の任に当たるGRUの工作員が多数勤務しているとしばしば指摘される。実際、2000年以降も自衛隊の機密情報を入手しようとした工作活動が、警視庁公安部に複数回、摘発されている(大使館員は外交特権を行使して帰国)。
コウモリの意味は産経新聞への圧力なのか?それとも別の意味があるのか?当事者の産経も含めてマスコミではどこも報道されておらず(5日午前0時時点)、新たな動きがあるのか注目される。