6万7千人の方々と共有した、国会と政治の現状への強い危機感

原 英史

政府の不正を監視することは、国会の重要な役割だ。しかし、追及は事実に基づかなければならない。間違った指摘をしたら、速やかに訂正・謝罪しなければならない。こうした社会一般では当たり前のルールが、国会論戦では適用されていない。

これが、今の国会の重大な問題だ。
結果として、デタラメな疑惑追及が横行する。半面、本来国会ですべき議論は十分になされない。

官邸サイト

外交も、憲法も、財政も、社会保障も、教育も、規制改革も、国会でもっとやってほしい議論がたくさんある。しかし、この臨時国会で目にみえた政策論戦の成果はわずかだ。

各政策課題への賛否は別として、国会でもっとまともな議論をしてほしい。野党は、政府の政策に反対なら、虚偽の疑惑追及ではなく、反対論をぶつけてほしい。政府・与党は、正面から議論に応じ、野党の主張が適切なら方針転換したらいい。そのうえで、国として進めるべき政策をしっかり前に進めてほしい。

今回、森ゆうこ議員の懲罰を求める請願に、6万7千人もの方々の賛同をいただいた。短期間で予想以上の数だった。
おそらく、個別事案の問題以上に、背景として、国会と政治の現状への強い危機感が広く共有されていたからこそと推測している。

そして、新田さんの指摘するように「安倍自民」への不満が噴出しているとすれば、現状を変えられる立場にありながら、何も手をうたず放置していることへの不満だと思う。

この請願は、こうした現状を放置するのか、変えようとするのか、対応を問うものと考えている。国会議員の方々それぞれに受け止めていただき、国会で審議いただけることを強く願っている。

原 英史
1966年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。国家戦略特区ワーキンググループ座長代理、大阪府・市特別顧問などを務める。著書に『岩盤規制 ~誰が成長を阻むのか』(新潮新書)など。