先週13日に行われたイギリスの総選挙、ジョンソン首相率いる保守党(与党)が歴史的大勝利を収めました。
この大勝利が意味するところは、「EUからの離脱をイギリス国民がもう一度求めたことで、来月末までにEUからの離脱がやっと決まる」ということでしょう。
保守党は下院の全650議席中365議席を獲得しました。この選挙結果はサッチャー政権下の1987年の総選挙以来の大勝利で、余裕の安定多数です。2大政党のもう一つ、労働党は40議席を減らす大惨敗となりました。労働党内にEU残留派と離脱派の双方が居たことから決めきれない状態だったわけで、国民に愛想付かされたということでしょう。これは日本の野党と同じで、党内がバラバラの意見であっても政権批判だけが一致してやっている状態だったわけです。
さて、イギリスの国内政治は2016年に国民投票が行われてから3年以上迷走してきました。EUとイギリス政府との間で合意案がまとまっても、イギリス議会がそれを否決するということが繰り返されてきました。EUからの離脱をブレグジット(ブレグジット=イギリス(British)+出る( exit))と言いますが、まさに国民はブレグジット疲れ、国民からすれば「もういい加減にしろ!」ということで、とにかく「離脱、離脱」と繰り返し訴えてきたジョンソン首相率いる保守党を国民は支持したわけです。
なぜ迷走してきたのかといえば、それは「EUに留まるべきだ」という残留派がまだまだ根強くいたことと、離脱の仕方ですね。特に北アイルランド地方においてです。
イギリスは日本と同様に島国と言われますが、メインであるグレートブリテン島に加えて、国であるアイルランドと同じ島の一部が北部アイルランドとしてイギリス領なんです。国であるアイルランドとイギリス領北部アイルランドとの間に国境の壁を設けるわけにもいかず、そこら辺の扱いがもう迷走の根本でした。
こういった件が、今回の結果を受けてようやく終止符が打たれ、これから先はすんなり事が進むのかといえば、実はこれからまだまだ続きます。というのは、来月1月末までにEUとイギリス政府が合意した案がイギリス国会で承認されることにはなります。しかし、問題はそこからです。約1年後の2020年12月31日までは離脱の移行期間になります。移行期間中は、これまでのイギリスとEUとの関係、人物・金の定義はこれまで通りです。この移行期間中に、移行期間終了後のルールを決めなければいけません。ですが、これがすんなりいくとは思えません。
より大きな視点で見ればアメリカファーストならぬ、イギリスファーストを主張してジョンソン首相は交渉をしていくでしょう。もともとEUというのは「ヨーロッパの中での戦争はもうやめよう」ということで誕生しました。しかし、大英帝国時代を引きずり、イギリスでは「なぜ俺たちがEUの言うことを聞かなきゃいけないんだ」、より具体的に言えば、「ドイツやフランスの言うことを聞かなきゃいけないんだ?」という感情があるわけです。
そういう意味では中国やロシアなどの独裁ともいえる強権政治の国や勢力がどんどん高まっている世界において、民主主義陣営のほころびとも言えるわけです。ですから、これは世界というよりも日本にも大きな影響があるわけです。
先週13日に行われたイギリスの総選挙、ジョンソン首相率いる保守党(与党)が歴史的大勝利を収めました。
この大勝利が意味するところは、「EUからの離脱をイギリス国民がもう一度求めたことで、来月末までにEUからの離脱がやっと決まる」ということでしょう。
保守党は下院の全650議席中365議席を獲得しました。この選挙結果はサッチャー政権下の1987年の総選挙以来の大勝利で、余裕の安定多数です。2大政党のもう一つ、労働党は40議席を減らす大惨敗となりました。労働党内にEU残留派と離脱派の双方が居たことから決めきれない状態だったわけで、国民に愛想付かされたということでしょう。これは日本の野党と同じで、党内がバラバラの意見であっても政権批判だけが一致してやっている状態だったわけです。
さて、イギリスの国内政治は2016年に国民投票が行われてから3年以上迷走してきました。EUとイギリス政府との間で合意案がまとまっても、イギリス議会がそれを否決するということが繰り返されてきました。EUからの離脱をブレグジット(ブレグジット=イギリス(British)+出る( exit))と言いますが、まさに国民はブレグジット疲れ、国民からすれば「もういい加減にしろ!」ということで、とにかく「離脱、離脱」と繰り返し訴えてきたジョンソン首相率いる保守党を国民は支持したわけです。
なぜ迷走してきたのかといえば、それは「EUに留まるべきだ」という残留派がまだまだ根強くいたことと、離脱の仕方ですね。特に北アイルランド地方においてです。
イギリスは日本と同様に島国と言われますが、メインであるグレートブリテン島に加えて、国であるアイルランドと同じ島の一部が北部アイルランドとしてイギリス領なんです。国であるアイルランドとイギリス領北部アイルランドとの間に国境の壁を設けるわけにもいかず、そこら辺の扱いがもう迷走の根本でした。
こういった件が、今回の結果を受けてようやく終止符が打たれ、これから先はすんなり事が進むのかといえば、実はこれからまだまだ続きます。というのは、来月1月末までにEUとイギリス政府が合意した案がイギリス国会で承認されることにはなります。しかし、問題はそこからです。約1年後の2020年12月31日までは離脱の移行期間になります。移行期間中は、これまでのイギリスとEUとの関係、人物・金の定義はこれまで通りです。この移行期間中に、移行期間終了後のルールを決めなければいけません。ですが、これがすんなりいくとは思えません。
より大きな視点で見ればアメリカファーストならぬ、イギリスファーストを主張してジョンソン首相は交渉をしていくでしょう。もともとEUというのは「ヨーロッパの中での戦争はもうやめよう」ということで誕生しました。しかし、大英帝国時代を引きずり、イギリスでは「なぜ俺たちがEUの言うことを聞かなきゃいけないんだ」、より具体的に言えば、「ドイツやフランスの言うことを聞かなきゃいけないんだ?」という感情があるわけです。
そういう意味では中国やロシアなどの独裁ともいえる強権政治の国や勢力がどんどん高まっている世界において、民主主義陣営のほころびとも言えるわけです。ですから、これは世界というよりも日本にも大きな影響があるわけです。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年12月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。