忘年会スルーは飲み会じゃなくてその会社に問題がある

黒坂 岳央

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
※Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka

忘年会スルーが話題になっています。「飲み会に参加したくない」というのは20代の若者に限定した話ではなく、40代以降の年代でも「できれば参加したくない」という意見が目立つとあって、最近はメディアでもよく取り上げられている話題となっています。

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個人的には、忘年会云々をどうこうするより、飲み会に参加したくないような会社にいることが問題の本質と考えます。

忘年会スルーしたくなる4つの原因

忘年会をスルーしたくなる原因を理解するため、SNSやメディア記事を読み漁ってみました。すると次のようなものが原因としてあげられるようです。

  • つまらない
  • 会費が自費なのが痛い(4,000円~5,000円)
  • 2次会、3次会に参加すると生活リズムが乱れる
  • 盛り上げ役や上司への接待を強要される

というものです。どれも改善が見込める要素があります。

まず、会費が痛いというのは、ごもっともな理由です。一部の勝ち馬に乗った先進的なIT企業や金融業界で活躍するエリートを除き、全体的に年収も下がってきている傾向があり、さらに税制改正によって同じ年収でも手取りは減っています。お財布事情が厳しいのは、すべての年代で共通していますから、会費が自費というのは正直キツイのです。

ですので、会社の行事として忘年会をするなら、会費を会社の経費精算をすることでこの問題は回避できます。

また、2次会・3次会まで連れ回されるのは、かなり迷惑な話です。飲みすぎて翌日が土曜日だとしても昼過ぎまで眠ってしまうと半日が失われてしまいます。プライベートを大事にしたい人にとっては、手痛いダメージです。こちらも1次会でサクッと切り上げるようにすることで問題を回避できます。

また、新人や女性社員をホスト、ホステスにする古い体質の会社はいまだに存在するようで、不満を抱える人も多く見られました。完全に時代錯誤で「日頃の業務の苦労を忘れる」という意味合いを持つ忘年会の趣旨こそが忘れられている気がします。むしろ、経営層を中心に従業員に業務の慰労を労って然るべきではないでしょうか。私は経営者ですが、忘年会に限らず飲み会は毎回「いつもありがとう」と感謝を伝える場にしています。

飲み会がつまらないのは、つまらない会社だから

「勤務先の会社は好きだけど、飲み会だけはつまらない」ということはあまりないと思います。

個人的な体験を振り返ってもそれは言えます。勤務先の会社や人間関係が好きになれない会社での飲み会は、いつも苦痛でした。そうした会社では「お前はだからダメなんだよ」と飲み会での振る舞いが嘲笑の的になったり、日頃の業務の粗を他の社員の前で晒し者になれるなど、思い出すだけでも心が痛くなるものばかりでした。

その反面、働くのが楽しかった会社の飲み会はとても楽しかった想い出があります。バカにしたりお酌を強要する上司もおらず、オフィスでも気持ちよくやり取りをしていたスタッフと、飲みの場で胸襟を開けた話で盛り上がる経験をしたものです。残念ながら会費は自分持ち、となっても楽しいと満足していたので、まったく不満に感じませんでした。

思うに、飲み会がつまらないのは、会社でつまらない思いをしているからです。

飲み会は業務、なら給与を出すべき

「飲み会は業務だ」という人がいます。なら、業務の一環として残業代を出すべきでは?と矛盾を感じてしまいます。

私が過去に体験した忘年会では、ひたすら社長が今後の業務の展望について語り続け、次に部長が業績報告というミーティングと遜色ないものでした。こちらはビールのコップを持ったまま、一方的に演説を聞かされ続ける、というものもありました。これは完全に場所を変えた会議でしかなく、従業員を慰労するという趣旨はまったく感じられないものです。 

忘年会は部下へ「今年もありがとう」を伝える場

私は経営者ですが、自分から「飲み会を開こう」とは言いませんが、従業員から「飲み会を開きたい」と言われます。大学生バイトの若い方からも「ぜひ飲み会をして欲しい」と言われることも。もちろん、飲み会の会費は会社の経費にし、できるだけ従業員が行きたいお店にしてもらっています。また、飲み会では私が従業員の話を傾聴し、お酒を注ぐなどホストに徹するようにしています。

飲み会は開催を強要するものでもなければ、経営者や上司が従業員から慰労を受けるものでもありません。特に忘年会は「日頃は頑張ってくれてありがとう」と感謝を伝える場だと思っています。

部下をホスト・ホステスにしてしまうようなブラックな飲み会に「忘年会」なんて偽善的な名称をつけるなら、「部下の接待による上司と経営者のための飲み会」と実態を示す名称にした方が、いっそ潔さがあるように思えます。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。