「マイホームは負債、賃貸はオプション取引」という投資家思考で考える

黒坂 岳央

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
※Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka

私は「一戸建てのマイホームは一生いらない」と思っている派です。「賃貸がいいか?持ち家か?」というテーマは、長く議論を続けられて来ています。が、今後も「マイホームはいらない」という思考は変わらないと考えています。

tomasa/写真AC

できるだけその根拠をロジカルに主張してみます。割とマイホームの購入にネガティブな見解よりになっていますが、もちろん全否定しているつもりはなく、「マイホームでしか得られない精神的充足」もあると思っています。

今回はマイホームの定義を、マンションではなく一戸建てに限定して議論を進めていきます。

マイホームのメリットは経済的ではなく、精神的なもの

日本においては、多くの場合はマイホームは資産ではなく負債になります。

資産性があるというためには、「購入したことにのリターン>購入費用」という図式がなりたつ必要があります。しかし、日本人は新築を好むという国民性がありますので、購入した瞬間に価格は半額に下落します。そのため、購入費用をペイできるマイホームを買うには、ロケーションやその他プレミアムの価値が付帯される条件を満たす物件に限られます。

また、マクロで見た場合、日本はこれから人口減少と少子高齢化で空き家率の上昇トレンドが見込まれます。そこを考慮すると、ますます「マイホームを持つことの経済的メリット」を見出すことは難しいと言わざるを得ません。そうなると家を持つことは、経済的メリットというより、精神的メリットが存在することになります。精神的メリットというのは、「持ち家がある安心感、満足感」というものです。

人間は、経済的合理性だけで生きるわけではありません。時にはメリットを上回る、満足感やプライド、個人の価値観などの理由が優先することも多々あります。ですので、マイホームを買うことに経済的メリットはなかったとしても、買う理由が存在することは認めるべきだと考えます。

未来のことは誰にも分からない

それからマイホームを購入するにあたり、考慮するべき要素があります。それは、「未来に何が起こるのかは、誰にも分からない」という絶対的事実です。

マイホームを持つ上で考慮するべきは、天災です。近年、南海トラフ巨大地震の襲来が危惧される呼びかけが広がりつつあります。人類はどこまでテクノロジーを発展させたとしても、巨大地震や津波を始めとする天災の前では、まさに「無力」の一言です。日本全土、天災とは完全無縁な地域など存在しませんから、天災で自宅が損壊するとその資産価値の下落はハンパなものではありません。

また、我が国はこれから少子高齢化が待ち受けています。家を購入した時は巨大なショッピングモールや、便利なお店が立ち並んでいる地価の高い場所に住んでも、人口減少の影響でそうした利便性が損なわれる可能性があります。自宅を持っていると、そのリスクをモロに受けることになります。

未来のことは誰にも分かりません。故に、持ち家は不確定性のリスクに対して、ボナラビリティ(脆弱性)が高すぎると感じるのです。

「家を買わずに賃貸暮らし」はオプション取引である

投資の世界には「オプション取引」という概念があります。「買う権利(コールオプション)」と「売る権利(プットオプション)」と言われるものがあり、対価を支払えばその権利を行使できるというものです。権利だけを買うので、権利を行使してもいいし、しなくてもいいのです。

家を買わない、という選択肢は長い目で見てコスト高です。同じ家でも購入する方が賃貸より安上がりです。が、私はこの割高を余儀なくされる代わりに、「家を所有せずに済む」という権利を行使できる、賃貸物件やホテル住まいを「オプション取引」と認識しています。

確かに賃貸は持ち家より割高です。しかし、天災で住居が損壊したり、利便性が損なわれても、賃貸なら気軽に引っ越しができます。お隣に騒音を発する人が引っ越してきても、自分がその場を離れたらスッキリです。が、持ち家だとまったく動くことができません。

今後は人口が減ることによる、空室率の高まりが予想されています。そんな時でもアジリティを保持しておくためにも、私は一生持ち家はいらないと思っています。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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