令和考②初夢と永田町で抱く胸騒ぎ

藤川 晋之助

驚きました。安部総理がこの難局のもとで『4選』を決意したと官邸の友人が電話をして来て飛び起きた。そのために必要ならば解散も辞さない。憲法改正を世に問うと。私は、一度野に下って復活した総理なのだから、危機に直面すればするほどやる気になる。第一次安倍政権の時の挫折からの復権を成し遂げたのだからなかなかめげない。そう思った。

もちろん夢の中での話だが…。

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それにしてもトランプはやってくれる。イランに報復攻撃を加えて中東は一発触発の危機に。北朝鮮への強いメッセージも兼ねてのつもりだろうが、大統領選挙へ向けての危険な賭けに出た。ゴーンのレバノンへの逃亡に、秋元議員逮捕によるIR汚職の衝撃。どうしたことか二人の元大臣が未だに雲隠れしているのだから、令和2年は安倍政権にとって試練の幕開けと言わざるを得ない。

野党には絶好のチャンス。ここで国会が開会される20日までに、立憲と国民の大同団結が出来るか否か。今更ながらに器量が問われていると期待感はあまりないにしても小沢一郎氏の執念が妖気を形成して永田町を覆っているように見えるのは私だけだろうか。

日本はどうなるのか?いやどうなるのかではなく日本をどうするかが問題なのだが。根本的なところで戦後遺制から脱却出来ないでいる日本の政治。危機はじわじわと迫り来て、取り返しのつかない状況にまで達しているのだけどなかなか変われない。現実的にはこれまた期待感は薄いのだけれど、安倍政権の最後の局面での真価が問われる1年なのである。

もちろん誰が考えても未来に明るい展望を構想しえないでいるのがこの国の真実の姿。2度目の東京オリンピックの年だと言うのに、1度目とは全く国民の期待感もムードも違う。その後の景気の停滞がよく指摘されるが、それだけではなく課題先進国としての問題解決能力の欠如こそが深刻なのだ。防衛、外交、経済、財政、そして教育。国家百年の体系がどれだけ国会で真剣に議論されているのだろうか。

そんなことを新年会でぼやくことくらいしか出来ない非力さを恥じ入るばかりだが、政治の責任はほんとうに重い。何十年か後に平成から令和にかけてろくな政治家がいなかったために国力が衰退したと言われるようになるのは明らかだ。

とはいえ愚かな私に出来ることは、せいぜい大いなる神々に祖国の弥栄を祈念することくらいだ。都合のいい言い方だが、次なる世代の皆さんに希望を託すこと以外に道はなく、志のある青年と交えることだけが生きている喜びと思っている。だから今年も永田町をわさわさと胸騒ぎしながら徘徊していることになるだろう。

政変への予感。カオスの政治。江戸末期はほとんどの藩は付和雷同。立ち上がったのは薩摩と長州だけ。今日は徳川に付き明日は尊皇攘夷と国中が揺れ動いた。それは今も変わらない。相当の外発的なショックがないとこの国は変わらないのだ。それでも平成の30年の間に2回の政権交代。その周期で考えればこの10年にも経たない間に再び政権交代の時期は来ると私は確信している。そのために野党がもっと成長しなくてはならないにしても、変わらなければこの国が融解するだけだからだ。

時間がかかっても有為なる人材が令和の志士として覚醒し立ち上がってくることを今年も初詣で心から祈念した。

新春に福多きことを。

藤川 晋之助   政治アナリスト、国会議員秘書
23歳の時、選挙の手伝いをきっかけに国会議員秘書となる。代議士秘書、大臣秘書、地方議員、放浪と隠遁生活を経て東南アジアでいくつかの事業に挑戦。帰国後、東京で藤川事務所を設立し、国会議員や首長の政策立案、選挙をサポートする。政官マスコミに幅広い人脈を持ち、田中派・小沢派での豊富な選挙経験を武器に高い勝率を誇る「選挙のプロ」としても名高い。趣味は文学と政治。