小泉進次郎環境相が育休を取得すると発表されたことで、世間が賛否両論に分かれていますが、私は、育休を取ることは大賛成です。
否の意見は「不倫疑惑隠しだろう」ということと、「パフォーマンスに過ぎない」「国会議員は普通の会社員とは違う」ということらしいですが、そりゃ3カ月中ランダムにたった2週間しかとらないんですから、パフォーマンスでしょうよ・・・とは思います。
子育てって3歳くらいまでは体力勝負。特に夜の授乳が終わるまではマジ地獄のような日々ですからね。
あまりの睡眠不足で、鬱になった友人も何人も知ってます。
子育ての現状を知ってる我々から見たら、「たった2週間で・・・」とは思いますよ。
でも、現在の男性育休取得率6.16%の現状を変えていくには、まず進次郎さんのような影響力のある人が、「育休を取った」という事実は大きな前進になるんじゃないでしょうか。
ご本人もそういった役割を引き受けるつもりで、この発表に至ったのではないかと思います。
なんでも社内で影響力のある人が育休を取ると、後に続きやすくなるという事例があるそうですから、男性国会議員が続々と育休を取って、一般の会社も牽引されて取りやすくなるといいですよね。
子育て環境が改善されないと、少子化対策なんか進みっこないんですから。
しかし、今回の進次郎さんの育休に関しては、大賛成ですが発表したコメントが頂けない・・・この発言こそが女性を追い詰めるんじゃないの?という大問題があると個人的には思っているので、今日はそのことを書きます。
進次郎さんは、ブログにも
私なりに考えた結果、「公務に支障をきたさないこと」「危機管理を万全にすること」を条件に、育休を取ることを決めました。
例えば、役所で行う打ち合わせやレクチャーは、メールでの資料確認やテレビ会議で行う。
副大臣・政務官に代われるものは代わっていただく。
結果として、丸一日休みの日もあれば、時短勤務、またテレワークの日もあるでしょう。
と、書かれていますけど、そもそも育休をとるってことは業務に支障をきたすことが当たり前ですよね。
女性だったら1年位の育休を取ると思いますけど、それだけ休んでも支障をきたさない業務なんてあるわけないですよね。
誰かを補充しなきゃならないかもしれないし、そうなったら採用や人事異動の手間という業務に支障が出る。
それでも育休制度はなくてはならないものじゃないですか。
で、こんなことを進次郎さんにされた日にゃですよ、「育休中もテレワークで仕事できるだろう」とか、「育休中もメールで資料確認してね。」なんてことになりかねません。
2週間ちょっと子育てを手伝った人と、夜中授乳する人では負担は全く違います。
育休っていうのは、基本的に「その人が休んでいる間、職場の人間がフォローできる体制を作る」っていうことが職場に課せられた義務だと思うんですね。
これ、何も育休に限らず、病欠するときだってそうですよね。
「その人がいなくちゃ会社がつぶれる」なんて体制だったら、会社としての屋台骨が脆弱すぎるじゃないですか。
しかも「だから女性には、支障をきたさない程度の仕事しか任せられない。」となっちゃったら、育給制度の意義自体が否定されますよね。
そして「女性はキャリアを選ぶか子供を選ぶか?」の二択を迫られ、ますます少子化は止まらない・・・と、悪循環になります。
制度が追いついていないだけで「女性だってキャリアも子供も選びたい!」っていう人がどんどん増えてる時代なんですよ。
そもそも今や専業主婦なんて一部セレブしか許されない位、低賃金の国になってしまっています。
サザエさんのような家庭なんて、遠い昔の話しなんですよね。
だから進次郎さんにはここで思い切って、
「ご迷惑をおかけしますが、2週間育児休暇を取ります。
僕が取ることで、日本の男性陣の育休所得率の向上を目指します。
休む前の引き継ぎを万全に整え、僕が休んでも国家はびくともしないことを証明し、各企業の男性育休体制が整うことを願います。
そのためには批判の矢面に立つ覚悟です。」
と言って欲しかったなぁ・・・と個人的には思います。
大体、進次郎さんが育休とってこの国に一大事が起きるようなら、それこそヤバすぎるし、国会議員なんて不祥事で国会に出てこなくなっちゃう人なんていくらでもいるじゃないですか。
それでも別にどうってことないですよね。
私は、今回の進次郎さんの育休はもちろん大賛成ですが、最近の進次郎さんの守りに入った「どっちにもいい顔する。」的なあいまいな感じが、どうも好きになれないというか、信用できない感じがしちゃうんですよね。
いや、私がどう思おうと、進次郎さんには何の影響もないですが・・・
最後にもう一度言いますが、「育休は業務に支障をきたしても取れることが当たり前」
そんなフォロー体制を職場で整えることが当然だと思います。
進次郎さん、どうせパフォーマンスするなら誰も追いつめられないようにスパッと潔くお願いしますよ!
田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
国立精神・神経医療センター 薬物依存研究部 研究生
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト