オランダという国名で呼ぶことが禁止される?

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国際的なイメージ戦略の一環として、オランダ政府が「Holland(オランダ)は正式名称ではない」と公式発表したという。

オランダの正式国名はコーニンクライク・デル・ネーデルランデン(オランダ王国)であり、地名としてはネーデルランド(英語でネザーランド)である。

低地地方という意味で、フランス語ではペイバだが、これは同じ言葉を意訳しただけだ。各国語で「ザ」など定冠詞を付けることが多いが、これは、固有名詞ではあるが、普通名詞に由来するからという。

ホラント(オランダはそのポルトガル語読み)はネーデルランドの一角を占める地方名で、独立運動を主導したのでこの国の別名のようになった。日本を大和(ヤマト)という地方名で代表するようなものだ。ただし、これも元の意味は同じらしい。

これは正式の国名ではないが、これまでは、別名として公的にも使われてきた。それを、ネーデルランドに統一するということだそうだ。

気になるのは、日本国内での呼称だ。ハフポストの取材に対して駐日オランダ大使館は「日本語の言葉として定着しているので今後も変更はありません」などと述べたそうだが、近年、国名した変更したケースとして、ロシア語のグルジアが英語のジョージアに変更することを望み、外務省がそれを受け入れたことがある。

それだけに、オランダから外務省に日本政府としての呼び名を変更して欲しいと要請が来る可能性は排除できまい。

そうなると、次は「教科書も」ということになるかもしれない。あるいは、オランダと書いたらFacebookから、アカウント停止になると言うことにもなりはしまいか。中国を支那と書いたら過去に遡ってアカウント停止になっている人がいるのだから、オランダという呼び方をこれまでしたことがある人も急いで削除しておかないと危ないかも(笑)。

さすがにそれはジョークだが、なにしろ、Facebookの言葉狩りは、基準も曖昧で、しかも、どのような言葉を禁止しているか公表もしない。発言内容も過去に遡るのだから用心に越したことはあるまい。


八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授