令和2年東京都予算案に苦言を呈します

東京都令和2年度予算案が公表されました。(こちら)

「東京2020大会を確実に成功させるとともに、『成長』と『成熟』が両立した、輝ける『未来の東京』を創る予算」と位置付けられています。

令和2年度予算案などの庁議で話す小池知事(都庁サイトより)

はてさて、その中身をお姐的に紐解いてみますと…

過去最大の総予算額!

全会計合計は、前年度対比3.3%増の15兆4,522億円と過去最大、一般会計予算総額7兆3,540億円と過去2番目の大型予算となりました。税収は、5兆4,446億円と消費税引き上げにも関わらず約600億減少しております。

昨年も、日本全国で深刻な災害が相次ぎ、東京都も台風15号、19号、豪雨が相次ぎ、甚大な被害を被ったことから災害対策には47億円増の、2,218億円、うち、水門等運用に関するICT・AI等最先端技術の導入検討、河川における監視カメラの設置拡大に2.3億円が計上されたことは、東部低地帯江戸川区選出でもあるお姐としても重要視し評価するものの…

他方、オリパラ経費は想定通り、東京都の負担額は1.4兆円となり、大会後の恒久施設の維持管理費、長期的な老朽化を鑑みて都民の負担増という「負のレガシー」を憂慮し、引き続いての警鐘を鳴らしていく所存です。

東京都は、「『未来の東京』戦略ビジョン」を策定し、政策面からの視点である3C(Children、Choju、Community)を、戦略の核に捉え、「人が輝く」東京を創り上げるための取り組みを進める」とのことですが、お姐としては

予算案には無駄を省くコンパクトのCが欠落しているのではないか?!!

とこの予算の冊子を見て直感したのでございます。

増え続ける社会保障に対応できるか

また社会保障費は今年度200億円、1.6%増加し、このままでいくと今後25年で累計約10兆円に及ぶ増加が見込まれます。このまま増え続けるとした場合、2028年には「法人二税≒福祉費」 という計算になります。つまり、都税収入の約3割を占める法人二税では社会保障が賄えなくなるという「約束された未来」がやってくるわけで、常に私は指摘をしてまいりました。

ちなみに、東京の65歳以上の人口は、2030年には都民の約4人に1人が、2040年には約3人に1人が高齢者となり、2020年に75歳以上が65~74歳の階級を上回り、団塊の世代が全て75歳を超える2025年をピークに、人口は減少に転じると見込まれています。本格的な少子高齢・人口減少社会の到来により、医療や介護等の社会保障関係経費は今後ますます増大する見通しで、外部調査機関による試算によると、社会保障関係経費は毎年平均で約300億円~400億円のペースで増加し、今後25年間で累計約10.8兆円増加する見込みを都も十分承知しているわけです。

節約しても借金すれば元の木阿弥

追い打ちをかけるように、地方譲与税は令和元年度税制改正により、2,379億円、81.8%の減。都は事業評価を進め、各事業の効率性・実効性の向上を図り1,030億円の財源確保をしたと言いますが、同時に2,084億円都債(借金)を発行していては、節約の倍、借金をしているということになります。

都債残高(借金残高)は圧縮傾向にあるとはいえ、利息含めた都民の将来負担を鑑みれば、巨額の財政需要の前にさっさと、借金(都債残高)は返して新たな借金(起債)はしない、これに限ります。

実際に、このような厳しい状況の中、420にもわたる新規事業は「5G」「ゼロエミッション」「イノベーション」等目新しく、聞えも良く世論の関心を引くかもしれませんが本当に必要なのか、小池知事の2期目に向けたアピールが自己目的化していないか、懐疑的な事業も散見されます。

既存事業を確実に遂行し、均衡財政を実現して「スマート」かつ健全な財政構造により、将来世代にいかに負担をかけないか?! こそを予算編成の理念、主眼とすべきではなかったでしょうか。

自由を守る会は、結党以来「血税を無駄遣いから守る!」を訴えてきました。来年度予算編成にも積極的に参画することにより、これを実現していくことをお約束致します。

お姐総括!

昨日、東京都と同じタイミングにて江戸川区役所において、斉藤猛区長初めての予算説明がなされました。お姐が江戸川区議時代は、財政課長であり、その後、福祉部長、教育長と歴任された実績がおありで区長ご自身ですべての予算説明をされて、さすが!と頼もしく拝見しました。
オリパラの年ですし、都税収が好調の余韻予算で、都も区もどちらも、一見心地よさげな過去最多的新事業満載でした。

でもね、

こういう時こそお財布の紐締めなきゃね!
不器用かもしれないけれど、ここを指摘する為にお姐がいる。

緊急のお願い!葛西臨海水族園 存続パブコメ協力を!

かねてより、お姐と地域の皆様、そして志ある建築家の皆様が長寿命化を求めて動いてきた「守れ。葛西臨海水族園」アクション!東京都が募集するパブコメの締め切りは明日までとなります。以下ご一読の上、是非ご協力ください!

【緊急・1月25日まで】守れ、葛西臨海水族園!パブコメ募集


編集部より:この記事は東京都議会議員、上田令子氏(江戸川区選出)のブログ2020年1月24日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は上田氏の公式ブログ「お姐が行く!」をご覧ください。