日帰り出張で講演をしてきました。会場の名古屋に向かうのぞみの車内で読んだ雑誌「Wedge」に、みずほ総合研究所の岡田氏が書いている興味深い記事を見つけました。
国立社会保障・人口問題研究所の2018年の推計値によると、2015年から2045年の30年間で日本全体に占める東京圏の人口は3.4%の上昇となっています。東京への一極集中は更に進むという予測です。
それよりも意外だったのは、県庁所在地への人口集中です。都道府県の全体人口に占める県庁所在地の人口集中が、24道府県で東京圏の3.4%以上のペースで増加するというのです(図表も同紙から)。
具体例で紹介されているのは、高知です。高知県は30年で人口は32%減少すると予想されています。その中で高知県に占める高知市の人口比率は、同じ時期に46%から54%へ大幅増加。高知県の半分以上の人口が高知市に集中することになります。
「2つの集中」という流れが組み合わされる結果、「非東京圏の郊外部 ⇒ 地域経済の中心都市 ⇒ 東京圏」という人の流れが続くことになります。
非東京圏の郊外は、公共交通や商店などの生活インフラが、人口減少で更に劣化し、スパイラル的に衰退していきます。県庁所在地も特徴のない「ミニ東京化」した都市には魅力が無く、そこから更に経済力のある東京に人が流れていくという構図です。
このような東京一極集中は、日本のリスク管理という観点からは望ましいことではありません。都市機能を分散させなければ、地震などの災害時に国全体が大きなダメージを受けることになるからです。
では、この流れを止めるには、どうしたら良いのでしょうか。
記事でも指摘されているように、地方都市に住みたいと思わせる魅力が高まらなければなりません。政策的に地方創生を進めても、人は利便性が高く、豊かに暮らせる場所を選んで住むようになるからです。
一部の地方都市の中には、東京には無い独自の魅力を高め、人口流出の流れを食い止めるかもしれません。しかし、そんな例外的な都市があったとしても東京の一人勝ちは残念ながら変わることはないでしょう。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年1月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。