20日召集された第201通常国会で、安倍晋三首相は施政方針演説の「おわりに」次の通り述べておられました。
国のかたちを語るもの。それは憲法です。未来に向かってどのような国を目指すのか。その案を示すのは、私たち国会議員の責任ではないでしょうか。新たな時代を迎えた今こそ、未来を見つめ、歴史的な使命を果たすため、憲法審査会の場で、共に、その責任を果たしていこうではありませんか。
いま上記演説に対する各党の代表質問を経て、論戦の舞台は衆参両院の予算委員会へと移っているわけですが、新型コロナウイルス肺炎の感染拡大の最中ですら「桜」の類ばかりを何時までもやっている野党の支持率は、低空飛行が続いています。野党は、今国会でも過去同様に「議論すらしない」憲法審査会で終わらせるというのではなく、党利党略・私利私欲を排して与党と真剣に議論を戦わせるべきでしょう。それが自党の支持率上昇にも繋げて行く唯一の方法だと私は思います。
19日に60周年を迎えた日米安全保障条約は、60年前の条約改定時、大学生や高校生までが街頭デモに多数参加し、日本社会は大揺れでした。しかし此の日米安保条約なくして、北朝鮮や中国、ロシアの核の脅威に処する術がないことを考えますと、当時の岸信介内閣の英断に感謝すべきでしょう。日本は少なくとも60年間に亘って、経済的繁栄のために税金を使うことが出来、また戦争に巻き込まれることなく平和を謳歌出来たのです。
「アメリカ・ファースト」の米国は今年、韓国に対するように日本にも米軍駐留経費の増額を要求してくると報じられていますが、私自身はある程度の負担増は仕方がないと思っていて、此の日米関係を出来るだけ守らねばならないと考えています。同時に片一方で、「独立の気力なき者は必ず人に依頼す、人に依頼する者は必ず人を恐る、人を恐るるものは必ず人に諛(へつら)ふものなり」と福沢諭吉が言うように、何時までも一国の独立を他国に依存していますと、色々な意味で自国の主張が出来なくなったりします。
日本の将来を考えるに、ますます独立自尊ということが必要な時代になっているのではないかと思います。例えば日本の原油輸入量に対する中東依存度を見ても87.3%と極めて高く、当域情勢の緊張が続く中での自衛隊派遣に関しても此の文脈で考慮されるべきでしょう。
何れにせよ、予てより安倍首相ご自身が「自民党総裁連続4選」を一貫して否定しておられるわけですから、何としても憲法改正の徹底論議を憲法審査会の場で実現し、御自身の悲願成就に向けた道筋を付けられたらと願っています。それが今国会の一番のポイントであり、私は今がそのタイミングだと思います。
それから最後にもう一つ、安倍内閣としての最後の仕事は、「全世代型社会保障制度」をきちっと作り上げて行く、ということではないかと思っています。その時に野党は野党で、此の間の「2000万円問題」を受けて当該分野の国民的関心も非常に強くなっているわけですから、建設的な代替案を示し国民的な理解を得られるよう集中的に取り組むべきです。それが出来なければ、永久に政権奪取は叶わないでしょう。
何故なら、嘗て「一度政権を担わせて下さい」と散々言い続け実現した「悪夢のような民主党政権」の醜態を見、国民の殆どは彼らに失望の念を深め完全に見限りある種の拒否反応を示すようになっているからです。あるいは、社会党や共産党の如きは未だ以て、「何でも反対の野党」「反対のための反対をするだけの野党」の典型で、今その存在価値すら危ぶまれる状況にあるからです。
質は量に伴うものであって、民衆政治はどうしても少数政治に勝る――安岡正篤先生は御著書『政治と改革』(明徳出版社)の中で、此のアリストートル(アリストテレス)の考え方を記しておられます。概して一般大衆の無知や判断力の欠落が指摘されたりもしますが、一般大衆を総体として見れば正にアリストテレスが述べているような側面があるのではないでしょうか。国民の大数としての選択の正しさは結構現れてくるもので、私自身は天意を国民が票に代えているものと捉えています。
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