東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会最年少)です。
新型コロナウイルス感染症対策本部
さて、中国の湖北省武漢を中心とした新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、東京都は1月30日「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置し対応をしてきましたが、昨日2月3日に開かれた第3回会合では様々な現実的な現場対応についても議論され、加藤厚生労働大臣への緊急要望の中身も判明しました。この中の幾つかについて解説を致します。
あわせて、動画での説明も参考にして下さい。
上の動画でも話していますが、現在、厚生労働省が発表している「新型コロナウイルス感染症の疑い例の定義」は以下のⅠおよびⅡを満たす場合を「疑い例」としています。 Ⅰ 発熱(37.5 度以上)かつ呼吸器症状を有している。 Ⅱ 発症から 2 週間以内に、以下の(ア)、(イ)の曝露歴のいずれかを満たす。 (ア)武漢市への渡航歴がある。(イ)「武漢市への渡航歴があり、発熱かつ呼吸器症状を有する人」との接触歴があるということです。
発症後に検査
が、こうした方々へのウイルス保有状況の確認検査は、発症後に行うものとされているだけです。すると、健康状態の把握と二次感染の未然防止の観点からは、患者との濃厚接触者については、無症状でも検査を行えるように統一的な指針が必要なのではないかという課題に行き当たるのです。ですので、もう一段階踏み込んだ体制整備が必要であり、その際は、これらの検査を実施するに当たっての体制整備や都道府県等への財政支援を国にお願いしたいというのが緊急要望の第1項目です。
そして、私がこちら↓の動画で説明したのは検疫法に基づく措置について。
検疫法2条か34条か
検疫法では、2条3号に基づく政令で指定する検疫感染症ですと、措置としては「質問、診察、検査、消毒等」ということになっています。
1月28日に厚生労働省健康保健局長名で「新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令等の施行 について(施行通知)」という文書が出されています。これは都道府県、保健所設置市市長、特別区区長会宛に出されています。ここには「検疫法(昭和26年法律第201号)第2条第3号の政令で定める感染症 として新型コロナウイルス感染症を定めること。」となっています。
ただ、新型インフルエンザ感染症等は2条2号で別に定めがあって、質問、診察・検査、隔離、停留、消毒等ということで、こちらは隔離・停留の措置が行えると明確にされています。
そこで、SARS発生の時に適用された検疫法34条に基づく指定感染症となれば、「質問、診察・検査、隔離、停留、消毒等の全部又は一部」の措置が行えることになるのですが、現在はまだそこまで至っていません。よって、新型コロナウイルス感染症については、現在、検疫法上の隔離・停留の措置が行えず、また流行地域からの渡航者であったとしても、無症状の者に対して検査等が行えないのです。
実際には、この感染症については、無症状病原体保有者からの感染の可能性も考えられ、そういった無症状保有者が国内で発症するリスクも濃厚なことから、新型インフルエンザ等と同様な対応が可能となるよう必要な措置を検討しべきだという主張です。
検査体制、ワクチンの強化へ
また、今後の感染拡大にも的確に対応するため、国としてPCR検査体制(遺伝子増幅法)を強化するとともに、民間検査機関でも検査が可能な体制を構築すべきであり、地方衛生研究所に対する技術的支援、必要な検査資材等の供給を行って頂きたいという国へのお願いです。
同時にウイルス保有の確認検査を医療機関でも行えるよう、迅速診断キットの開発を早急に進めて、予防ワクチンの早期開発も必要ですが、このあたりは昨日の国会・予算委員会の場で安倍総理も取り組んでいるという答弁がありました。現状は今の横浜港のクルーズ船の方々への検査も時間がかかっていますが、大体6、7時間の検査時間と言われています。医療機関で、簡単にインフルエンザが出来ように迅速な対応が出来れば、また様相は変わってくるはず。
私からすると、首都・東京が世界中から多くの人がやって来る都市として、無症状の方への対処、あるいは、疑いの方への隔離など厳しい措置が出来ないと、今後、春節連休が終わった今、日本と中国各都市との行き来が活発になることから、誰もが不安を持たず安心して過ごせる公衆衛生に優れた環境を整備していくことを大切にしています。是非、皆さんと正確な知識と情報により、この苦しい局面を乗り越えていきましょう。
編集部より:このブログは東京都議会議員、川松真一朗氏(自民党、墨田区選出)の公式ブログ 2020年2月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、川松真一朗の「日に日に新たに!!」をご覧ください。