デキル人の教養書の読み方とは

(筆者撮影)

教養を身につける最短ルートは、教科書や参考書の学び直しです。今回は新著『頭がいい人の読書術』(すばる舎)から、読書テクニックをお教えします。

教養は、すぐに役立つ知識ではありませんが、地力になります。教養の定義はさまざまあると思いますが、私は問題解決力だと考えています。いまの大学教育では、社会課題をうまく切り取り、自身の技術で解決できることが評価に変わってきています。

企業の採用活動では「自ら考えて行動する」、問題解決型の人材が求められる人物像に変わりつつあります。おそらく、みなさまが会得した教養のなかには、すでに役に立たないものがあるはずです。問題解決力は経験によって深みを増していきます。読書は問題解決力を高める有効な手段です。

教養といっても幅広いので、何から学び直したらいいかわからない、という方におすすめなのは、政治・経済の学び直しです。なぜなら、政治・経済を学ぶということは、広い視野に立って社会の本質に関する理解を深めることだからです。

私たちの生活はすべて政治の意思決定により左右されています。政治・経済を理解し、社会のなかにおける、私たちの役割を理解することで、良識が身につきます。政治・経済を正しく理解することで、正しい判断力を養うことができるのです。

教養の学び直しをするときにおすすめなのが、学生時代に使った教科書や参考書です。政治・経済を学び直しする際に役立つ書籍を紹介します。
・『山川一問一答倫理』(山川出版社)
・『山川一問一答政治・経済』(山川出版社)
・『もういちど読む山川倫理』(山川出版社)

約1600の「政治・経済」の用語を取り上げた、一問一答形式の問題集です。用語は、政治と経済に分けて配列されています。問題は、重要度を3つのランクに分けて表示されています。時代の先人が模索してきた倫理感や物事のとらえ方の変遷を理解することができます。

また、小学校の算数も、学び直ししておくと、世の中のいろいろな場面で力になります。小学校の算数を学び直しする際に役立つ書籍を紹介します。
・『小学校6年分の算数が教えられるほどよくわかる』(小杉拓也著、ベレ出版)

小学生の算数など楽勝と考えている大人は多いと思います。しかし、それを子どもに教えることは難しいはずです。「わかっている」と思っている人が実は理解していない部分を丁寧に解説しています。

私は、現在、50歳を過ぎ人生の残り時間が気になっています。そのようなときに、役立つのが読書です。他人の経験や知識を、本を通じて自分のものにすることができるからです。正しい読書法を身につければ、数十人分の知識や経験を身につけることも可能です。 あなたが、心を豊かにする1冊に出会えることをお祈りしています。
———————————————
尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
16作品目となる『頭がいい人の読書術』(すばる舎)を出版しました。