週末も中国武漢発の新型コロナウイルスの患者数が増えました。
日本国内も世界各国も今のところ感染者が1万7205人(※2月3日10時現在)となり、拡大の一途です。
「薬がない」「ワクチンがない」ということは、「治療しにくい」「予防しにくい」だから、新型ウイルスがこれだけ拡大しているわけです。そうならば、人と人が接触しないというのが、いわば感染者が増えない、ウイルスが拡大しないということですよね。
旅行や遊びであれば、延期することができますけれども仕事ではそうはいきません。
ということで、今テレワーク(「テレワーク」=「tele = 離れた所」 と「work = 働く」をあわせた造語)に踏み切る企業が増えています。
例えばソフトバンクは現地スタッフに在宅勤務を指示しました。国内でもIT大手のGMOインターネットが先月27日から国内社員の9割(4000人)に在宅勤務を指示、JT(日本たばこ産業)も国内の7500人の全社員にテレワークを積極的に活用するように通知しました。エネオスでおなじみのJXTZホールディングスは出張、旅行を問わず、中国から帰国した従業員に自宅でのテレワーク勤務を義務、野村証券などを有する野村ホールディングスも、出張や旅行などで中国から帰国した社員には14日間の在宅勤務するように指示しました。
テレワークが可能な仕事というのは基本的にはパソコンを使ってやるオフィスワークになりますが、実は日本政府は、テレワークをここ数年推進してきました。というのも今夏の東京オリンピック・パラリンピックを見越してのことで、その時には世界中から沢山の人が来日するわけですし、多数のオリンピック関係者も移動しますから、特に東京都内の交通混雑が予想されるからです。そこで国は平成29年から「テレワーク・デイズ」という期間を設けてきました。昨年の第3回目は、7月22日から9月6日という期間で実施をして、実に2887団体約68万人が参加をしました。
平成24年(2012年)のロンドンオリンピックの際もイギリスではテレワークを実施しました。実にロンドン市内の企業80%が参加をしたことから、交通混雑の緩和に加えて、仕事の効率が上がる、生産性が上がるということにもなり、ロンドンオリンピックのレガシーとも言われてます。
今夏の東京オリンピック・パラリンピック期間中に大和ハウス工業・サントリー・日銀・三菱UFJ銀行・りそな銀行・全日空などが実施を表明しています。全日空のANAホールディングスでは毎月24日を本社の約1000人の社員がほとんど出勤をしないという実践的なテストをこれまでも実践的なテストを繰り返しています。
そう考えれば今回新型コロナウイルスで出勤しなくてもいい働き方や、出勤するにせよ出勤の仕方などに工夫をしてみるいい機会にもなると思うんですね。よく地震の避難訓練なんかでシナリオ通りに進む訓練より、地震が本当に来たときにすぐに行動したり、頭をめぐらせたりできるより実践的な訓練の方が良いと思うんで、今回もそういう機会にすればいいと思うんです。
中小企業も、こういう時期だから顧客にも理解されやすいし、今回の新型コロナウイルスがパンデミックみたいなことにならないように、もちろん祈っているわけですけれども、しかしいざというときのために備えてやってみてはいかがでしょうか。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年2月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。