いずれ裁判員制度廃止論が有力になるかも知れない

一連の司法改革については、それなりのプラスもあったがマイナスもあるな、というのが現時点での私の感想である。

いらすとや:編集部

折角裁判員制度が導入されたのに、結局は裁判員制度で下された一審判決が上級審で覆されて、そのまま確定する、という事例が最近相次いでいるようだ。

なんだ裁判員の判断はそんなに軽いものだったのか、とガックリされた方が多いのではないか。

弁護士会としては死刑廃止論に立っているから、裁判員裁判で死刑判決を下された被告人に上級審で無期判決に変更されても表立って異議を述べることは出来ないのだろうが、私は法定刑として死刑が定められている以上、裁判員裁判で死刑が宣告された被告人については死刑を選択すべきではないかと思っている。

最高裁の判決で量刑基準が確立しており裁判員裁判の死刑判決はこれに違背している、などと言われても、私にはそう簡単に納得できない。

国民の司法参加の一類型として裁判員制度を導入した以上、裁判員を欧米の陪審員と同様に扱うのがそもそもの司法改革の理念に沿うものだろう。

裁判員の判断をそんなに軽く扱うのだったら、最初から裁判官だけに裁判させればいいじゃないか、ということになってしまうはずだ。

民事、刑事を問わず日本の裁判制度が大きく変わってきているのに、なんで昔の裁判に戻すようなことをしてしまうのか、と少々ガッカリしている。

改革にはプラスもマイナスもある。
なかなか当初の理想通りに行かないことも沢山ある。

確かに、一連の司法改革については、そろそろ見直した方がいいのかも知れない。
裁判員制度然り、法科大学院制度然り、予備試験制度然り。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2020年2月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。