コロナウイルスのテレビニュースで荏原病院の映像がよく出てくる。減圧部屋(部屋が減圧されていて金が部屋の外に出ない)が用意され、汚物も個室トイレで滅菌してから外に流す仕組みの施設をもつ感染症に対応可能な病院なのだ。
実はもう10年以上前、次男が、医学生時代に入院したことがある。現地病院の見学に行ったベトナムで食べた生春巻きにあたったらしく激しい頭痛と下痢で、帰国直後に隔離された。
当時は、隔離する必要のない人も、部屋数の関係で減圧部屋を使っていたようで、夕食時は食堂で皆一緒に食べていた。減圧部屋から出るのを禁止されていたのは次男1人だった。
次男は医学生仲間に部屋の写真を送ったりしていて余裕だったが、私は「もうダメか」と思ったくらいに心配した。かかりつけ医で処方された抗生部室を飲んでいたせいで菌が特定されないまま10日後くらい後に完治、伝染の恐れなしと退院許可がおりた。本当にやれやれだった。1か月後に私たち夫婦も友人を訪ねてベトナムに行くことになっていたが、「もしあれが若い次男ではなく私だったら死んでいたな」と怖くなり、キャンセルをして立山旅行に変更した。
そして旅行2日目、山のホテルで情報通信端末を見ていたらリーマンショックが起きていた。慌てて電話でポジションをすべてクローズし被害を最小限に抑え得た。もし、私たちがベトナムに行っていたら、瞬時の行動がとれず、自己破産していていたかもしれないと思うと、ぞっとした。春巻き様様だ。荏原病院にはそういう思い出がある。