ニュースはコロナウイルス関連ばかりの昨今ですが、自衛隊はアウトブレイクなどに対応できるだけのNBCスーツ、死体袋の備蓄は十分にあるのでしょうか。
先の東日本大震災では、NBCスーツも死体袋も全く足りていないことが露呈しました。NBCスーツはフランスや米国に急遽輸送してもらってしのぎました。
当時某方面隊航空司令と話していたときに、航空用のNBCスーツの備蓄はどのくらいあるんですか?と聞いたら、「えっ、そんなものがあるんですか?」という話をされたので、たいへん驚いた記憶があります。諸外国ではヘリや固定輸送機はもちろん戦闘機用のNBCスーツが存在しますが航空科の高官ですらこれを知らなかったわけです。
福島第一の原子炉に放水するヘリでは、普通科用のNBCスーツを着用しました。自衛隊の航空部隊ではNBCを想定した訓練もしてこなかったわけです。
無人機もあてになりません。
また防衛省が「大規模災害」「CBRN環境下」における偵察に必要であり、開発は大成功とHPで自画自賛していた陸自のヘリ型UAV、FFRSは東日本大震災で一度も飛びませんでした。その後国会で徳地局長(当時)は、信頼性の低さを認めたものの、導入から一年も立っていないとの言い訳をしましたが、その後の熊本などの大災害でも一度も使用されておりません。そしてその後調達はされていいません。
つまりは全くの失敗作です。
防衛省はホッカムリしていないで失敗を認めて、公表すべきです。
それをしないで官は過ちを犯さずを気取るから、いつまでも同じような間違いや失敗を続けます。
例えばアウトブレイクの状況で汚染地域を封鎖した場合、自衛隊はその地域での救助や医療、食料や医薬品の配布、洗浄、偵察などの活動が必要ですが、その場合はヘリや固定輸送機も必要になるでしょう。そういう事態を想定していなかったということです。
果たして現在はどうなっているのでしょうか。極めて心配です。
Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
島耕作型経営者が企業滅ぼす
元自衛隊医官の梅津拓史医師の著書です。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2020年2月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。